今回の公開型勉強会は、特別編。先生、保育者、支援者、親など、日頃実際に子どもと関わることをされている方に限定して開催します。
ゲストは、本城慎之介さん。
本城さんは、楽天株式会社の元副社長。大学院生時代に楽天を創業、30歳になったとき退社し、その後、公立中学校の校長先生になります。
中学校を退職後は、高校生向けの全寮制中高一貫校の開設も考えるも、それをとりやめて、現在は、軽井沢「森のようちえんぴっぴ」のいち保育者として子どもたちに関わりながら日々を過ごしています。
以下のインタビュー記事の本城さんの言葉を抜粋してみたので、長いですがよかったらお読みください。
自分の子どもが通う幼稚園の候補のひとつとして、ぴっぴを見学した日の出来事がきっかけでした。
皆でたき火を囲みながらのお昼ごはんの時間に、3 歳になったばかりのある男の子が濡れた手袋を外し、それを乾かすためにたき火の周りの石の上に置いたんです。明らかに手袋に火が燃え移ってしまう距離感でした。スタッフの人たちはそのことに気付いていたけれど、何も言わなかったんですね。
案の定、手袋は焦げてしまい、男の子は泣いてしまった。僕が「やっぱり焦げましたね」とスタッフのひとりに言うと「そうですね。でもね、先週は燃やしちゃったんですよ」と言われたんです。つまり、前回は手袋が燃えるまで見守って、今日は焦げるまで見守ったんですね。
男の子は、前回失敗したおかげで、火の距離感がだんだんつかめてきて、燃やすから焦がすに変わり、次回はきっと焦がさずに手袋を乾かせるようになる。子どもの失敗を見守って、何度も挑戦させてあげるという関わりの豊かさに、ガツンと頭を叩かれたような気がしました。”
“子どもとは、過不足なく関わる必要があると思うんです。でも、最初はその加減もわからない。例えば、ある子が棒を持って遊んでいる。楽しそうだけど、危ない。どのタイミングで声をかけるか迷うわけです。
この場合、早く止めてしまうと、過干渉になってしまうし、子ども同士でけがをさせるようなことが あったら、関わりが不足していると言えると思います。そういう具体的な判断をひとつひとつ経験しながら、だんだんとそのまま見守れるようになってきて、声をかける時の言葉やタイミングもわかるようになってきたように思います。
「その棒の長さはどれくらい?」と声をかけて、自分の身長よりも長い棒は、他の人にあたってしまう可能性があるから、切るようになっていったんですけど。いまでは、子どもたちが自分から身長と棒の長さをはかって、切るようになりました。経験を重ねることで、「過不足なく関わる」ということがどんなことなのか、なんとなく見えてきた気がします。”
過不足なく関わる。
この言葉は、私(入谷)自身が、このインタビューを読んでガツンときた言葉でした。
子どもとの「関わり」に正解などひとつもないけれど、でも、自分の「関わり」ひとつひとつに、「ちょっとまてよ」と問いをもちながら、子どもたちと関わり続ける。
そんな本城さんの「すがた」や「関わり」を、そのまんま、皆さんと共有したいなと思いました。
今回は、”「関わり」を考える”というテーマで、「保育士」「先生」「支援者」「親」等々…が、子どもたちに「関わる」ということについて本城さんと一緒に考えたいと思います。
いつもの公開型勉強会のように、知識のインプットというよりも、「ともに、悩む」という感じの勉強会になりそうです。ともに考える時間を持ちたい方、ぜひ、お越しください。
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当日の詳細
■テーマ
NPO法人D×P 第15回公開型勉強会
【特別編】「関わり」を考える。
■日時: 2014年6月8日(日)
OPEN13:30/14:00〜16:00/CLOSE16:30
■場所: 市民活動スクエア CANVAS谷町
http://www.osakavol.org/10/access/index.html
■交通アクセス:
京阪「天満橋」駅から徒歩6分
地下鉄谷町線「谷町4丁目」より徒歩6分
■定員:35名
■参加資格:
先生、保育者、支援者、親など、
日頃実際に子どもと関わることをされている方。
■プログラム内容(予定):
・本城さんの「森のようちえんぴっぴ」でのこと
・なにかワークショップ×2回くらい
■お申込み方法:
以下より必要項目を記入のうえ、ご送信くださいませ。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/36fbd531299499
■参加費:1,000円
■主催:NPO法人D×P(ディーピー)
http://www.dreampossibility.com/
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■ゲストプロフィール
本城慎之介(ほんじょう しんのすけ)
1972年北海道生まれ。楽天株式会社の創業に参画し、取締役を務める。
退職後、横浜市立東山田中学校長を務めるなど、教育の現場に軸を置きはじめる。
2009年より軽井沢町「森のようちえんぴっぴ」
で保育者として2歳児〜5歳児の子どもに関わるようになる。5児の父でもある。
薪割り、焚き火、絵本が最近の趣味。
認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長。1985年札幌生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)卒。高校生のとき、イラクの子どもたちのために医療支援NGOを設立。その活動のために、当時、紛争地域だったイラクへ渡航。その際、現地の武装勢力に人質として拘束され、帰国後「自己責任」の言葉のもと、日本社会から大きなバッシングを受ける。結果、対人恐怖症になるも、大学進学後、友人らに支えられ復帰。偶然、通信制高校の先生から通信制高校の生徒が抱える課題に出会う。親や先生から否定された経験を持つ生徒たちと自身のバッシングされた経験が重なり、何かできないかと任意団体Dream Possibilityを設立。大阪の専門商社勤務を経て、2012年にNPO法人D×Pを設立。通信制高校の高校生向けのキャリア教育事業を関西で展開し、「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」を目指して行動している。