子育て・育児

子どもがスキルを身につけるために必要な5つのステップ

バスケットボール教室

スポーツや文化芸術活動、体験活動などでは、子どもたちに技術を教える機会がたくさんあります。また、日常生活の中でも道具の使い方などを教える機会も多々あります。

子どもたちにスポーツや音楽などを教えている指導者の方々や保護者から「何度教えても出来るようにならない」「丁寧に教えてもなかなか上達しない」という話をよく伺います。もちろん、子どもたち一人ひとりの素養は異なるので出来るようになったり、上達していくスピードは違います。

しかしながら、子どもたちを上手に教えている方々には、共通する指導のプロセスがあります。出来ないことや上達しないことを子どものせいにしてはいけません。子どもたちにスキルを教えるうえで、基礎となる指導方法について述べたいと思います。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」という言葉をご存知ですか?教育者としても知られている山本五十六の残した教育訓です。この言葉の中に、子どもたちにスキルを教えるために必要な学習プロセスが書かれています。

①「やってみせ」
<モデリング> 大人が模範例を示して、実際にやってみせる。
例.カッターは、こうやって紙を切る道具なんだよ。

②「言って聞かせて」
<教示>どのようにすればいいのかわかりやすく説明をする。
例.カッターは、押す時ではなく引く時に切れるからね。あと、刃をナナメにしないときれないからね。

③「させてみて」
<行動リハーサル>実際に子ども自身がやってみる。
例.よし、では実際に◯◯くんもやってみましょう。

④「褒めてやらねば」
<強化>子どもがやってみたところを見て、良かった点について褒める。
例.はじめてなのによくできたね。こんなにキレイに切れたね。

この①~④のプロセスだけでは、実際の場面で活用できないと思います。子どもたちは、一回ですべてのことが上手くできるようになるわけではありません。より効果的な指導を行うためには、⑤の改善・修正のプロセスを加えておく必要があります。

⑤「課題点・工夫点を伝える」
<改善・繰り返し>上手くできていないところや工夫すべき点について教える
例.もう少しカッターをナナメにしてやってみよう。今度は、もう少し厚い紙を切ってみようか。

注意をしなければならないのは、④と⑤の順番を間違えてはいけないということです。先に⑤を言われるとやる気を失ってしまい、④を言われても耳に入ってこないか、わざとらしく聞こえてしまいます。上手く出来ていない場合であっても、実際にチャレンジしたという行為そのものを褒めることはできます。

段々と①で出来たイメージに近づいてくることが出来るように子ども自身が感じられると意欲も高まり、自発的に繰り返していくようになります。そこまでくれば、状況を見ながら④と⑤を適宜行うだけで十分です。

 「わかっているだろう」「できるだろう」という姿勢は禁物

料理教室

子どもたちに何かスキルを教える際に指導者側が「わかっているだろう」「できるだろう」という思い込みをしてしまい、①と②を十分に行なっていないケースが多々見受けられます。

指導者自身がモデルを示せないのであれば、ビデオや写真などの教材を用意したり、上手な子どもにやって見せてもらっても良いかもしれません。子ども自身が上手く出来たイメージが掴めない状況ややり方を理解できていない状況では、スキルが身につかないのは当たり前です。

また、「わかっているだろう」「できるだろう」という思い込みが先行してしまうことで、「こんなことも出来ないのか」「このくらいのことはわかるだろう」という不快感を持ってしまう人も少なくないと思います。

そのような姿勢は、子どもたちに必ず伝わってしまい、やる気を失わせる一つの原因になりかねません。初めの指導の際に、「ここまではわかるかな?できるかな?」と子どもたちの理解の程度を確認しながら進めていくことが大切です。

一つ物事ができるようになることで、子どもたちの世界は広がります。また、一つの物事ができるようになると、子どもたちの自信にもつながります。子どもがスキルを身につけることができるようにぜひ、自分の指導方法を点検してみましょう。

Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。
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