子育て・育児

子どものイヤイヤ期に寄り添うために、トコトン大切にしたい4つのこと-その場しのぎにならない接し方を考える

子どものイヤイヤ期

幼稚園で子育て支援活動をしていると、子どものイヤイヤに悩んでいるお母さんにたくさん出会います。

2歳頃から始まるイヤイヤ期。親の立場から見ると「魔の2歳」でも、子どもにとっては「自己主張の訓練期」。やっと言葉というツールを手に入れ、自分と他者を区別して、嫌だと思うことを主張できるようになる大切な時期です。

何歳であれ幼少期に自己主張できなかったり、受け止めてもらえなかったりすると、成長の過程のどこかで爆発(キレる)するなんていう話も。

「うちの子は、あまりイヤイヤ期がなかったです」と話してくれたお母さんは、懐の深い、共感力の高い方だったりして、子どもの自己主張を「イヤイヤ」と捉えず、丁寧に受け止めていたのかもしれません。とすれば、私たち大人が子どもに寄り添うための親力・大人力をアップデートしていかねばと思います。

わが家の2歳2ヶ月の息子も、「ちーがーうのー!」「しなーい!」を連呼する日々。寝言でも「はかないー!!ちがうー!」とイヤイヤ。

ファシリテーターなんていう肩書きを持って仕事をしていても、幼稚園で働いていても、そんな息子の言動に困り果てることは多々あります。どうしたら・・・と色々考えてみました。が、結論から言えば、解決のマニュアなんて存在しないのだということ。

ネットや書籍を調べれば、子育て情報が無数あるし、口コミ質問サイトには悩める親の相談が溢れています。賞罰や鬼のアプリなど、子どもを騙して(?)その場を解決するようなやり方もありますが、「それをすると、子どもは何を学びますか?」ということを大前提に考えると、重要なのは「大人が何を大切にして関わるか」ということだとわかります。

教育者として、2児の父として、子どものイヤイヤ期に寄り添うためにトコトン大切にしたい4つのことを共有してみます。子どもに関わるみなさんが、日々どんなことを大切にしているかを振り返るきっかけになれば幸いです。

子どもを一人の人間としてトコトン尊重する

大人よりもできることは少なくても、生意気なことを言っていても、その子は尊い存在だということを忘れてはいけないということ。これは親子に限らず、友人や職場の人間関係など、全ての人付き合いで大切です。例えば、親子間の言葉づかいを考えたときに、親だからと言って、自分の友人に使わないような言葉づかいは子どもに使うべきではないと思います。

「いつまで食べてるの!いい加減にしなさい」「言うことを聞かないなら、置いていきます!」「もうおやつ抜きだからね!」と、仲の良い友人に言えますか?親が子どもに尊重した態度で関わると、子どもも人を尊重することを覚えます。

子どもにトコトン共感する

自分がイライラしていると、子どもがどんな気持ちなのか、何に興味を持っているのかを考えられなくなることが多々あります。

開けて欲しくない戸棚を開ける、夕ご飯の時間におもちゃ箱をひっくり返して遊び始める、その子は何に興味を持って、どんな気持ちでいるのでしょうか。

ふと、相手の軸で考えてみると、少し優しくなれるような気がします。親の関心で子どもの行動を見ると、多くの行動が迷惑な行動と捉えられがち。子どもの関心でその行動を見るとどうでしょう。

子どもは「今、ここ」の感情に生きる達人です。子どものイヤイヤに対して、「代わりに◯◯してあげるから」「あとで◯◯しようね」と代替案を出したところで、「今ここ星人」には通用しません。

そんな時、子どもの主張にトコトン寄り添ってみたら?「そっかそっかー、もっと遊びたかったんだね。片付けるのが嫌だったんだね。うんうん。」と。

ここでこだわりたいのは、「片付けるのは嫌だね」(同調)ではなく、「片付けるのが嫌なんだね」(共感)と相手の視点で共感の言葉を使うこと。「あなたの主張とは同じではないけれど、気持ちには共感するよ」という距離感。

なんでも子どもの言うことが正しいと迎合するのではなく、子どもの気持ちを大切に受け止めてみるということです。これなら、大人の主張を譲らずに、トコトン相手の気持ちを受け止められます。

その場しのぎにならない接し方

子どもの行動をトコトン信じる

「料理のお手伝いと言いながら、お鍋をかき混ぜ食材が床に落ちていく」「シャツもズボンも後ろ前でも、自分で着替えると言っている」

様々な場面で、親は子どもを見守る姿勢を試されます。手出し口出ししたくなりませんか?

子どもを信頼するためには、自分から信じると決意することが必要です。普通は、相手の行動が信じるに値するレベルに高まったときに初めて相手を信頼するでしょう。

しかし、「失敗するかもしれないけれど、その子を信じる」ためには「なんであれ、私が信じると決める」こと。無条件の信頼。

そしてそれを見守るための忍耐力も求められます。作家の五木寛之さんの著書の中で「あきらめる」の語源は、仏教用語で「物事を明らかに極める」ことであると書かれていました。

イライラしながら子どもの行動を見るのではなく、状況を明らかに見極め、信じて待つと決めたら、イライラを手放してドラえもんのような眼差しで見守ってみる。親にとって一つ発想の転換になると思います。夕飯の支度を「あきらめて」、子どもの遊びに付き合ってみるのも悪くないかも。おかずは1品減りますが。

自分のことをトコトン大切にする

子どもの関心を大切にして、子どもの気持ちに寄り添うことを大切にしすぎると、自分の感情を雑に扱ってしまいがちになりませんか?

親が率先して、自分のことを大切にするロールモデルでいることは、子どもの成長にとっても大切なこと。親が感情的にイライラしたら、素直にその気持ちを伝えることは健全だと思います。

ただし、その際には「私メッセージ」で伝えること。ただ感情的に当り散らしても、子どもには届かないし、子どもに感情を当たり散らすことを教えることになります。

子どもの行動や価値観に対立したい時、「①相手の行動内容+②自分への具体的な影響+③自分の気持ち」を含めた「私メッセージ」で自分の気持ちを伝えたらどうでしょう。

「①◯◯くんがおもちゃを片付けてくれないと、②ご飯の支度ができなくて、③私は困る」。

相手を責めることなく私の気持ちを伝える方法です。この「私メッセージ」には指示が含まれず、子どもが次の行動を考える余白があるため、主体的に考え、相手の気持ちを知る学びの機会にもなります。それでも子どもがイヤというならば、あきらめて受け入れてみてはどうでしょう。

と、4つのトコトンいかがでしょうか。わかっちゃいるけど、日々の喧騒の中で忘れてしまう。日々是修行なり。

Author:藤樫亮二
学校法人藤樫学園矢切幼稚園理事。玉川大学文学部外国語学科英語専攻卒業。米国ニューハンプシャー州 Plymouth State University K-12 Education、Adventure Education 修士課程修了。大学卒業後は米国に留学し、アドベンチャー教育を専門に学ぶ。帰国後、玉川大学学術研究所「心の教育実践センター」で、 大学助手として、体験学習プログラムの実践・開発・研究に携わる。学校教育プログラム、社会教育プログラム、企業研修、教員研修など様々な領域をフィールドとし活動。現在は、矢切幼稚園で主事を務める傍ら、アドベンチャー教育のファシリテーターとして、チームビルディングやリーダーシップ研修などの活動を行っている。
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