公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎、本部:東京都千代田区)は、経済的困難や若年妊娠、未婚・ひとり親、多子世帯、知的障害や精神疾患、在留資格の不安定さなど多様な課題を抱える妊産婦、そのパートナーや家族を対象としたアンケート調査を実施し、深刻な状況が浮き彫りになりました。
本調査は、2025年4月~5月に実施され、一般応募者259件(41都道府県)、代理応募(自治体・医療機関・支援団体経由)455件(47都道府県)という規模で行われました。
貯金がない実態 8割近くが10万円未満
調査によれば、一般応募者のうち「貯金額がゼロ」と回答した人は54.1%にのぼり、「10万円未満」とした人も22.4%に達しました。つまり、全体の約8割近くが貯金10万円未満という厳しい家計状況にあることが判明しました。さらに、「妊娠・出産で思うように働けないことによる経済的不安」を抱えていると答えた人は、9割近くに上りました。
給付制度に頼らざるを得ない産後の準備
産後の生活費のやりくりに関しては、一般応募者の61.8%が「児童手当や児童扶養手当などの給付を利用する」と回答し、過半数を占めました。その一方で「出産後はなるべく早く働く」と答えた人も53.3%に上り、支援策を必要としながら、経済的自立への意欲も強い傾向が見られました。
(経済的困難のある妊産婦らへアンケート調査結果報告書より)
養育費の「文書での取り決め」はごく少数
未婚またはひとり親として応募した人を対象に、養育費の取り決めについて聞いたところ、「文書による取り決め」はわずか4.8%にとどまり、最も多かったのは「取り決めをしていない」(28.0%)という回答でした。
(経済的困難のある妊産婦らへアンケート調査結果報告書より)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、こうした調査結果を受け、特に低所得世帯に対する紙おむつなどの育児消耗品の定期支給や、困難を抱える妊産婦への支援を強化するよう、こども家庭庁や関係省庁、自治体に対して訴えていくとしています。
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。