子育て・育児

過干渉・過保護な親にならないために大切にすべきこと-子どもの自立のために「見張る」ではなく「見守る」

子どもの手を握る大人

今、大学受験や就活、婚活など様々な場面で介入する過干渉・過保護な親が増えているというような報道をたびたび目にするようになりました。

子どものことを心配し、失敗や挫折をさせないように先回りしたり、子どもに代わって準備や段取り、意思決定するといった行為を良かれと思って行っているようです。

我が子に過干渉や過保護になってしまう気持ちは、僕も親の一人として痛いほどわかります。だからそうならないために、「子育て四訓」をいつも気にするようにしています。

<子育て四訓>
①乳児はしっかり肌を離すな。
②幼児は肌を離せ、手を離すな。
③少年は手を離せ、目を離すな。
④青年は目を離せ、心を離すな。

素晴らしい教訓ではあるものの、なかなかこれを実践するのは難しいことです。もしかして、こんなことはないでしょうか?

もし、こんなことがあれば、既に過干渉・過保護あるいはその一歩手前にきているかもしれません。

過干渉・過保護クライシス

過干渉・過保護クライシス

では、過干渉・過保護な子ども達は、結果としてどのようになってしまうのでしょうか?

子どもが欲しがるもの(こと)を何でも与る。更には欲しがってもいないのに与えてしまう。すると子どもは、太って動けなくなったトラのようになってしまいます。

子どもがちょっと出来ないと直ぐに手を出す。少しでも困っていると早々に手助けをしてしまう。すると子どもは、エサを待つだけの口を空けたペンギンのようになってしまいます。

子どもは、塾や習い事で超多忙。しかもそれらは全て親が決めた(選んだ)こと。すると子どもは、疲れ果てたワンちゃんのようになってしまいます。

一歩を踏み出す子ども

「自立」とは、何か?

子育て・子ども教育の目的は、つきつめると「子どもが自立した社会人になる」ためです。そして自立とは「自らの力で生活をし、社会に貢献し、幸せな人生を送る」こと、つまり「自分で立って歩く」ことですね。

過保護のために太り過ぎたトラは、獲物を獲る力がありません。

過干渉のために口を空けただけのペンギンは、手を動かそうとしません。

過支配のために疲労困憊したワンちゃんは、栄養剤が欠かせなくなります。

親の過保護・過干渉が、子どもを鬱(うつ)、ひきこもり、依存症、摂食障害などにしてしまうというデータもあります。

また、成長するに従い子どもは「健全な反抗」を示し、「自治領域」を広げようとし、そのことで脳や精神が自動的に成長していくわけですが、親が過干渉・過保護になってしまうと、子どもは親に反抗できなくなり、自治領域を拡大できず脳を自分で成長させる機会を失ってしまいます。

でも、「わかっちゃいるけどやめられない」のが、親の気持ち。では、どうすればいいのか?

そこで、僕がPTAや地域活動を通じて見てきた他家での好例と、少年野球コーチの経験を通じて見てきた優れたコーチの指導法と、会社経営で僕が心がけている社員教育法などからの共通項を、拾い上げてみました。(実は、子ども教育と、スポーツ指導と、会社経営には、同じ原則があるのです。)

過干渉・過保護クライシスから解き放たれるための15の方法

過干渉・過保護クライシスから解き放たれるための15の方法

いかがでしょうか?上述したように、子ども教育と、スポーツ指導と、会社経営(社員教育)には共通項が多いのですが、僕は常日頃、以下3つの「共通する大原則」を意識しています。

①長期目線を持つこと(目先の結果に左右されず長期的に考えること)。
②子ども(会社なら部下)に、裁量権(自分で考え決めていい)を与えること。
③親自身(会社なら上司)が、軸を持ちながら人生を楽しむこと。

さぁ皆さん、我が子の自立をハラハラしながら見守りましょう。そう、「見張る」のではなく「見守る」のです。

親が介入しなければならない時

SOSの緊急事態を伝える

「過干渉・過保護」呪縛からの解放について述べてきましたが、我が子も子ども、もちろん親が介入すべきタイミングは当然あります。

それは、「ある一戦を越えそう」なとき、「他人を大きく傷つけそう」なとき、「ルールを守れない」ときなどです。

犯罪や事故の被害者になりそうとか人生に多大な悪影響を及ぼしそうという「ある一戦」を越えそうなときは、何を捨ててでも我が子を守りに行く。

加害者になりそうとか友達をイジメたり法律違反をしそうなときは理屈抜きで「ダメだ!」と厳命する。いずれも、親が本能でそう感じたら、行動すればいいと思います。

判断で一番難しいのが、一戦を超えるまでには至らないレベルの時です。そのときの判断材料は、「子どもからSOSが出ているか」でしょうか。

笑顔が消えた、急に落ち着きがなくなった、いつも下を向いている、など子どもは親に対し自然にSOSを出すものです。

そのSOSを感じたら、直接的に「イジメにあっているの?」などと聞かずに、「お母さんはいつもあなたの味方よ」というサインを出し続けることがいいでしょう。

Author:川島高之
1964年生まれ、1987年:慶応大学卒、三井物産に入社、2012年:系列上場会社の社長就任、「イクボス式経営」で利益8割増、時価総額2倍、残業1/4を達成。2016年:社長退任、フリーランサーとして独立。一方、小中学校のPTA会長(元)、少年野球コーチ、イクメンNPO「ファザーリング・ジャパン」理事、子ども教育NPO「コヂカラ・ニッポン」代表でもある。
子育てや家事(ライフ)、商社勤務や会社社長(ビジネス)、PTA会長やNPO代表(ソーシャル)という3つの経験を融合させた講演が年間300回以上。
NHK「クローズアップ現代」では「元祖イクボス」として特集され、AERA「日本を突破する100人」に選出、日経、朝日、読売、フジTVなど多数メディアに。
著書:いつまでも会社があると思うなよ!職場のムダ取り教科書

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