高校中退

高校中退後の人生の進路選択とは?(前編)-まず「高校中退を乗り越えた」という根拠・武器を手に入れよう!

進路

高校中退は、社会経験の量や手本となる先輩の存在が少ないことからその後の人生のハンデとなることがあります。

現在、私は、自分自身の高校中退の経験から不登校や高校中退など学校教育をドロップアウトした人たちの支援を行っています。今回は、高校中退後の具体的な進路選択について、考えてみたいと思います。

社会から見た高校中退者の印象は、「学歴や資格もなく、普通に行けるはずの高校を辞めているのだから何か問題(精神的に弱い・素行不良など)があるのではないか」と見られてしまいがちです。

これまで私自身は多くの高校中退者に出会ってきました。精神的な強さも弱さも人それぞれで、高校中退者だからと一括りにはできません。

高校中退している人の中にもダメな人はいますが、学歴積み重ねている人でもダメな人はいます。そんなことを言っても社会からの高校中退者に対する見方は簡単に変わるものではなく、厳しい状況にあるのも事実です。

では、どうすればよいでしょうか?端的に言えば、「学歴」か「資格」を取る、もしくは「普通と変わらない(問題ない)ということを示す」かのどれかができれば、相手にもたれる印象はかなり良くなります。

「学歴」「資格」「印象(もしくは行動)」。何か1つ、武器を作ろう!

「高校でも途中で終わってしまっているからどうせ・・・」という、社会から(もしくは自分自身から?)の意識に対して、「そんなことはないよ!」とはっきり言うためには、その根拠が必要です。一番わかりやすいのは、「学歴」又は「資格」を得ることです。多くの高校中退者が見るであろうWebサイトで「高卒認定を取りましょう」「通信制高校をはじめ各種学校に通いましょう」などと謳われているのはこのためです。

「学歴」を得る方法は、通信制や定時制などの高校や専修学校などに入りなおす方法と、高卒認定を受けて大学や専門学校などに進学する方法に分かれます。

いずれにしても、学校に通ってそれぞれが定める要件をクリアする必要があります(もちろん、中退しているからということで、入り口でも厳しい対応を受けてしまうこともあります)。そういったものを乗り越えて学歴を得れば、高校を中退したことを見事にクリアした証明になります。社会からの見られ方も変わるでしょうし、自分自身の自信にもなるでしょう。

もちろんこれには、学費がかかります。成績が優秀など何か秀でたことがあれば奨学金をもらうことも可能ですが、そうでなければ、貸与型の奨学金を受けることになります。これは、将来自分で返さなければならない低利子の借金とほぼ同じです。今も奨学金を返済できない方々の話がたびたびニュースなどをにぎわしています。

例えば、大学に通う学部生(昼間部)で52.5%が奨学金を受給する(日本学生支援機構「平成24年度学生生活調査」)ような時代ですので、奨学金を借りて進学するという方法は一般的と言えます。

もちろん、返済の必要がない方が良いので、給付型の奨学金や、貸与型でも無利子の奨学金など、よく検討して「学歴」を得る方法を考えてみてください。「働きだしたら毎月2万程度は返せる」と軽く考えすぎないことや、できるだけ借りる額を減らすことを真剣に考えることを強くお勧めします。

「高卒認定」(高等学校卒業程度認定試験)って意味あるの?

今度は「資格」についてです。今回はまず、高卒認定についてだけを取り上げたいと思います。高卒認定について、みなさんはどのぐらい知っていますでしょうか?「ややこしくてよくわからない」「簡単に取れる」「取っても中卒と変わらない」などという話をよく耳にします。さて、実際はどうなのでしょうか。

まず、1つ言えることは「資格」を取ることは意味があります。「高卒認定を取得した」ということが自分への自信につながることもありますが、仕事に就いて働くうえでのメリットになります。

例えば、2013年に文部科学省から発表された「高等学校卒業程度認定試験合格者の企業等における扱いに関する調査の結果について」の中では、下のような数字が挙げられています。

2013年に文部科学省から発表された「高等学校卒業程度認定試験合格者の企業等における扱いに関する調査の結果について」

このデータは、3年前に発表されたものなので、現在はこの数値はもう少し高くなっていると予想しています。この数字についてみなさんはどういう印象を持たれるでしょうか?

私自身は、まだまだ少ないという印象を持っていますが、「高校中退=何か問題がある気がする」という感覚が根強いことや、採用基準をいちいち見直しはしない(高卒認定自体が企業にあまり知られていない)であろうことから、このような数値になることも十分理解はできます。

また、採用基準をきっちり決めているような社員数が多い企業さんを就職候補から外せば、そもそも学歴を重要視しない会社もたくさんあります。実際の高卒認定からの就職活動を考えた場合、「採用基準をクリアするために高卒認定を取る」というよりも「高卒認定=高校中退の後始末を自分できちんとしました」ということをアピールする材料になるでしょう。

また、進学や資格試験などの受験資格でいえば、高卒認定はほとんど高卒と同じように見なされます。高卒と同等程度の学力が認められているので、試験を受ける前にはじかれるようなことはありません。

勉強

「高卒認定」(高等学校卒業程度認定試験)って取るのは難しいの?

高卒認定は毎年2回(8月・11月)の試験が行われます。合格すべき科目は8~9科目(高校1年が修了している場合は、修得単位に応じて必要な科目2~4程度のみ)で、英語、数学、国語、世界史が必修で、現代社会と科学と人間生活は選択をしたほうがいいでしょう。

残りは2科目で、日本史か地理、そして、理科の基礎科目4科目から1つを選択することになります。個人的には、地理と地学を進めたいところですが、自分にとって取っつきやすい科目でも構わないと思います。

合格点の目安は40点で、問題は選択式の4択が基本なので、確率から考えても25点。少し知識をつけて選択肢を絞れたり正解が分かったりする問題があれば、合格するチャンスがぐっと広がります。また、8科目を一度に合格する必要がないので、少しずつでも合格科目を積み上げていけば良いのです。

実際、受験生の約9割が1科目以上の合格し、受験生の約4割がその時点の試験で高卒認定を取得できています。

ですので、私はナイトクルージング(夜回り)で出会う人たちにも「塾には来なくていいから、受けるだけ受けてみたら?」と受験を進めるようにしています。受験の願書などは直接会えれば渡せるのですが、各教育委員会などに問い合わせすれば入手方法を教えてくれるはずです。

2016年の1回目の試験まで後6カ月。ちょっと頑張ってみるのはいかがでしょうか?

Author:山口真史
1981年奈良県生まれ。一般社団法人new-look代表理事。関西学院大学大学院 文学研究科 総合心理科学専攻 学校教育学領域 修了。「型にはまらないで考えよう。常識を打ち破ろう(Think Outside theBox)」を掲げる、高校中退・不登校向けの個別学習サービス、TOB塾代表。 2歳で父を大韓航空機撃墜事件で亡くし、母子家庭で育つ。奈良工業高専の中退経験と、中学・高校の教員経験(担任・学年主任・人権教育主任など)のほか、大手人材紹介会社やNPO法人での勤務経験を持つ。さまざまな仕事や人との出会いの中で「覚悟を決めればどの道も正解」・「もっと自由に生きていい」ことを知り、高校中退からの生き方にスポットをあてるため、new-lookを設立した。

動画・new-lookちゃんねる:高校中退者を襲う6つのこと

new-lookちゃんねるは、高校中退者・不登校生・通信制高校生などに向け、進学したい人・就職を目指す人のどちらにも響くような内容をシェアしていきたい!という想いで作ったチャンネルです。

具体的には、いまは高卒認定試験についての情報を中心に、動画をアップしています。高卒認定試験ってそもそも何?というお話から、高卒認定試験を受けるならココをおさえておくといいよ!というコツのお話まで、幅広く動画にしています。

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