高校中退

高校中退して次の進路に悩んでいるキミに伝えたいこと-高校中退後に訪れる2つのしんどい波を乗り越える

高校中退のその後のキャリアを考えるシンポジウムの様子(高校中退のその後のキャリアを考えるシンポジウムの様子)

高校中退を経験している人たちのお話を聞いていると、高校中退後のしんどさには2つの波があるように思います。そして、その波を乗り切った者は、高校中退を感じさせない未来を生きているように思えます。

もちろん、高校中退者が持つ背景は複雑で困難で、そして多様です。この進路という面だけを切り取って語ることにどれほどの意味があるのかは分かりません。

それでも、まず次に進める人たちだけでも進んでいって、「高校中退」という道を拓いてくれることを期待しつつ筆を進めたいと思います。早速、まずはそのしんどさから見ていきましょう。

高校中退後の2つの波

まず1つ目のしんどい時期は、学校に居ることに様々な疑問を持つようになるころから始まります。

「学校に行きたくない」「学校に行く意味がわからない」。また、突然に学校を辞めることになったら「どうしていいか分からない」となるでしょう。そして、一度、迷い始めたら、不安など様々な感情に支配されていきます。

そのつらさは、一旦、次のステップや目標を決めるまで続きます。「学校に残る」「転校する」「○○を目指す」何でもいいのですが、目標を定めるまでは悶々とした日々を過ごすことになります。

しかし、周りの理解も進み、次の目標が決まると、何をどうしていいか分からないしんどさは和らぎます。高校中退・不登校の経験を伝える動画メディアのヒラケゴマプロジェクトのインタビューの中でも、次に進む道が明確になった後は、しんどい状態と正面から向き合わないで、前を向いて決めたことにがむしゃらに取り組む姿勢が見られます。

ヒラケゴマプロジェクトのインタビュー撮影風景(ヒラケゴマプロジェクトのインタビュー撮影風景)

ここからは、高校を中退するという選択をした人の立場だけを考えていきます。

何かを「やろう!」と決め、学校からも自由になって、実際に進み始めてしばらくすると、2つ目のしんどい時期がやってきます。

それは、「思ったように進まない」「本当にこれでいいのか」「辞めないほうが良かった」などに起因するしんどさです。しんどいというよりもつらいという感覚が近いでしょうか。特に「自分だけは何とかなる」と思って学校を辞めた人は、何ともならない現状と向かい合った時に、改めて自分の立場を考えさせられます。距離をとったことで美化された思い出とともに。

この2つ目のつらさは、1つ目のしんどさの中、一体どれだけの覚悟を決められたかで変わってきます。次に向かう意思が強ければ強いほど、高いハードルも何としてでも越えようとするし、「社会的所属がない」という意識と将来への不安もうまく焦燥感に変えられます。

ただ、何とか前を向こうと思っても、上手くいかなかったり、不安になることがあります。そうなった時に、進む方向の指針を示してくれたり、羽根を伸ばしたり、できない自分を表現できる居場所があれば、このつらさも和らいだり、気持ちがリセットされたりするのですが、多くの高校中退者にはそういった居場所がありません。

サポートしてくれるところもなく、そういう情報もでてこない。闇の中をただひたすら自分自身を信じて進む感覚に近いでしょう。

どの道に進むにしても、自分で進んだ道を正解にしていくしかないのですが、それを高校中退という社会で圧倒的にマイナスに見られる立場の者が一人でやり切ることはとても難しい。必ずやってくる不安やつらさの中、ハードルを越えることを諦めてしまう人も少なくないのではないかと考えています。

自分で設定した道を、いかなるハードルが来ようとも自分の課題だとして乗り越えていく。これができれば、高校中退という一見マイナス要素しかなさそうな出来事も、自分の糧として生きていけるようになると思っています。

高校中退の次の一歩としてふさわしいのは?

紙飛行機

高校中退は「すでにしてしまった失敗」と捉えられることが多いので、「次こそは失敗しないように!」と次に進む道を慎重に選び過ぎてしまうことがあります。

その気持ちは十分に分かりますが、安定した絶対的な正解となる進路などありません。どこの道が安全か、どこの道が得なのか、と探し続けて歩みを止めて悩むこと自体にあまり価値はありません。

私は高校中退した後、そんなに時間が経ってないのであれば、どの方向に進むかはそこまで大きな問題ではありません。

もし、やりたい職業が技術職、専門職であるならば、理系学部や専門学校などそれに沿った道に進みましょう。そして、そういったものがない場合は、現時点では、迷わず有名私立大学文系学部を目指せばいいのです。

それは、文系学部の中でどこの学部を選ぼうが、就職の有利不利はあまり見られないからです。むしろ、就職活動を左右するのは、それまで何をして何を得たのか、どんなことができるのかということです。

そうであるならば、就職の際に足きりをあまりされない程度の有名大学で、少しでも興味ありそうな文系学部への入学を目指せばいいのです。そして、大学生という社会的な身分をもって、自信をもって色々な活動をすればいいのです。

悩み続けてその場で止まってしまうと、次に進むためには大きなエネルギーが必要となってきます。そこにはまってしまう前に、とりあえず進むことも有効な一手です。今の見えている世界の中で、自分に向いている職業や将来の夢などを探すよりは、少し進んで新しい視点を持って、それらを探す方が自分なりの答えに近づく可能性が上がります。

私立大学を目指すなら、3科目だけきっちり勉強すれば良いです。今の世の中では、無料のオンライン講義もネット上にたくさんあり、月千円も払えば有名講師の講義が聞けるものまであります。こういったものをうまく利用しつつ、一方ではバイトで少しずつでも大学の学費を貯めておく。そうすることで、高校中退だからこそ進める自分で自分の人生を作る方法が可能になると思っています。

高校中退後に活躍している人はたくさんいる

「高校中退」とは、一見とてもマイナスな印象を持たれがちな言葉です。

しかし、先日私も参加させてもらったとあるプレゼンテーションで、いろんなジャンルで活動している人たちとお会いしました。全国から選ばれた19人の内、高校中退・中卒の学歴の方が、話ができた中だけでも(私を含めて)4名いました。また、高校中退した後、自分で事業を起こしている人たちもたくさん知っています。

「高校中退」。それ自体ですべてが決まるわけではありません。希望を持って、出くわすハードルを1つ1つ超えていけば、必ず自分の道が拓けていきます。そうなるように、前を向いている高校中退者それぞれに良い安心基地が与えられることを願って。

Author:山口真史
1981年奈良県生まれ。一般社団法人new-look代表理事。関西学院大学大学院 文学研究科 総合心理科学専攻 学校教育学領域 修了。「型にはまらないで考えよう。常識を打ち破ろう(Think Outside theBox)」を掲げる、高校中退・不登校向けの個別学習サービス、TOB塾代表。 2歳で父を大韓航空機撃墜事件で亡くし、母子家庭で育つ。奈良工業高専の中退経験と、中学・高校の教員経験(担任・学年主任・人権教育主任など)のほか、大手人材紹介会社やNPO法人での勤務経験を持つ。さまざまな仕事や人との出会いの中で「覚悟を決めればどの道も正解」・「もっと自由に生きていい」ことを知り、高校中退からの生き方にスポットをあてるため、new-lookを設立した。

動画・new-lookちゃんねる:高校中退者を襲う6つのこと

new-lookちゃんねるは、高校中退者・不登校生・通信制高校生などに向け、進学したい人・就職を目指す人のどちらにも響くような内容をシェアしていきたい!という想いで作ったチャンネルです。

具体的には、いまは高卒認定試験についての情報を中心に、動画をアップしています。高卒認定試験ってそもそも何?というお話から、高卒認定試験を受けるならココをおさえておくといいよ!というコツのお話まで、幅広く動画にしています。

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