子育て・育児

なぜ、アナタの注意は子どもに伝わらないのか?

子どもに注意する

子どもが意図的に間違った行為をしている時、アナタは親として指導者としてきちんと子どもに適切な対応をとることはできますか?楽しい時は良いけれど、いざという場面で適切な言動を取ることができるかは、子どもとの信頼関係を築いていくためにもとても大切です。

「子どもから嫌われないために」、「対応することが面倒だから」と我関せずのような態度を取る人は論外であり、最終的に子どもにマイナスの影響を与えることになるでしょう。

しかしながら、「子どもに何度も繰り返し注意をしても伝わらない」という話を保護者や指導者の方からよく伺います。対象とする子どもの年齢によっても注意の仕方は異なってきますが、土台となる考え方は同じです。

一体どのようにすれば子どもに注意を受け止めてもらえるのでしょうか?

「怒る」と「叱る」は違う

「怒る」ということと「叱る」ということは根本的に違うものです。上記に「怒る」と「叱る」の違いを目的、経緯、結果の三点から比較して表にまとめました。「自分のために怒る。相手のために叱る。」とよく言うように「怒る」という行為は、相手に影響することはありません。

怒ると叱る

つまり、やたら怖い顔をして、声を荒げて怒鳴っている方を目にしますが、怒っている本人がすっきりするだけで相手にとっては全く意味がないのです。子どもの場合は、何が悪かったのか認識することが出来ずに、怒っている人の機嫌を伺うようになるだけなので、また繰り返してしまうことがあるのです。

「叱る」という行為は、必ずしも声を荒げることも厳しい言葉をぶつけることも必要ありません。大切なのは、子ども自身が何がどのように良くなかったのかを理解し、次に同じことがあった時にどのようにすれば良いか考えるきっかけやヒントを与えるものでなければなりません。

啐啄同時(そったつどうじ)を大切にする

いつどのタイミングで注意をするのかも重要な要素です。後から後からグズグズした言い方で注意をしても信頼関係を損ねるだけです。かと言って取り組んでいる物事を中断させてまで注意されれば、逆に腹を立てるかもしれません。

「啐啄同時」という言葉をご存知でしょうか?鶏の雛が卵から産まれ出ようとするとき、殻の中から卵の殻をつついて音をたてます。そのとき、すかさず親鳥が外から殻をついばんで敗れます。この行為が同時であってはじめて、殻が破れて雛が産まれます。早すぎても遅すぎても、弱すぎても強すぎても雛は生まれることはできません。

子どもに対する注意も同じです。保護者や指導者の一方通行の行為では徒労に終わってしまいます。相手の状況や前後関係をよく考えましょう。

一貫性をもって指導する

「さっきと言ってことが違う!」、「アイツは良くてなんでオレはダメなのか!?」というような指摘は子どもたちからもよく聞かれる声です。同じことをしても時間の経過や人によって、注意の内容が異なるというのは、子どもたちにとってはわかりにくいものです。

また、指導者が複数いた場合には、「あの人は良いって言ってたよ!」という指導者間での食い違いも子どもたちにとっては混乱の種となります。事前段階でどのような注意をしておくべきか想定し、指導者間でもきちんとした情報の共有をしておく必要があります。

そして、指導者自身がよく気をつけておかなければならないのは、「無言・沈黙は了解(OK)である」ということです。面倒だと見て見ぬふりをしたり、注意しやすい子だけに言うようなやり方は、矛盾を生じさせ、信頼関係を損なわせる恐れがあります。

一対一の落ち着いた状況で向き合う

「誉める時は、多くの前で、叱る時は、一対一で」というのが基本です。子どもたちにも大人と同じように大なり小なりプライドがあります。見せしめのように多くの人の前で注意することで、イソップ童話の「北風と太陽」の話のように心を閉ざしてしてしまい逆効果です。

一対一で向き合うことで、子どもにその真剣さを伝えることにもつながり、子ども自身の素直な言葉に耳を傾けることが出来ます。特に子ども自身が興奮している状況で注意をするのは、火に油を注ぐようにより興奮を高めてしまう恐れがあり、一度、落ち着いた場所で感情を落ち着かせるためにも他の子から離れて対応することが大切です。

「手を変え品を変え」を繰り返す

子どもの性格特性や置かれている状況・場面によって、不適切な行為を繰り返さないために取る対応方法は異なってきます。「押してダメなら引いてみる」というようにあの手この手とやり方を変えてみなくてはなりません。こちらの伝えたいメッセージを相手が気持ち良く受け取ってもらうことが出来るように、様々なアプローチのバリエーションを試していきます。

一度で理解をしてもらえたならそれは奇跡的なことであり、同じメッセージを様々な角度から繰り返し伝え続けることが重要です。指導者側の忍耐力が必要になりますが、子どもに対しての真剣さや本気度が試されていると思い、実直に向き合っていきましょう。

Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。
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