キズキ共育塾は、“もう一度勉強したい”人のための個別指導塾である。不登校や中退、引きこもりを経験しているなど、勉強にブランクがある方の学び直しをサポートしている。
今回、「キズキ共育塾」で校舎の教室運営スタッフとして2年前から働いている児玉谷亜貴(こだまやあき)さんにインタビューを行った。
前編では、彼女が現在に至るまでの経緯や、具体的な仕事内容を中心にお話を伺った。後編では、今の仕事のやりがいや、児玉谷さんが大事にしている想いについて伺った。
継続して関わる中で、見える変化
キズキへの入塾希望者との面談は、ほぼ毎日ある。これまでの生活の中でつまずいたり、挫折の経験をした方にとって、一歩踏み出すのはとても勇気がいることだ。当然初めは、不安や緊張の様子を見せる生徒も少なくない。
講師とのマッチングを経て、勉強をスタート。継続的に塾に通い、講師や教室運営スタッフとの関係性ができてくる中で、生徒の様子にも変化が見られる。
「表情が変わってくるんですよね。初めは緊張していたり、不安気な表情だったのが、先生と話すことを少しずつ楽しむようになっているなって。そんな様子が見えるととても嬉しくなります。継続していくことが、一番大事ですね」
安定してきたように見えても、波はある。できるようになった分、見えてくることもあり、「これで大丈夫なのかな?」と不安に陥り、落ち込む生徒もいる。
そんな時も、生徒自身がその壁を乗り越えていけるように、寄り添い、励まし、一緒に走る。つらい時期を乗り越えて最終的に進路が決まった時には、自分のことのように嬉しく思う。
自分自身の“傾向”と“対策”を知ること
(教室運営スタッフと各講師とのコミュニケーションも大切にしている)
誰かが悩んだり、困ったり、壁にぶつかったりしていた時に、どのように支援するべきなのか。キズキで働くまでは、なんらかのアドバイスをして、「解決しました!」という状態にするのが理想だと思っていた。
でも、その人が抱えている“生きづらさ”は、何か劇的なことがあって消えてしまうことはない。大事なのは、その生きづらさとの付き合い方を知ること。
どのような状況の時に落ち込んだり、つらくなったりするのか。逆にどうすればそれらを軽減することができるのか。
つらくなる場面をゼロにすることはできないが、自分自身の“傾向”と“対策”を知って、ストレスを感じる場面に出会った時に、対処していくことはできる。
学力を向上させていくことはもちろん必要だ。でもそれ以上に大切なことは、生徒が自分について深く知り、これからの人生で起きる様々なできごととの向き合い方、付き合い方がわかるようになること。
生徒の“伴走者”として、対話を積み重ねながら、一緒に考え続けている。
生徒一人ひとりの安心できる場所であり続ける
(個別指導だからこそ、つまづきを経験した若者への丁寧なサポートが可能)
児玉谷さんはじめとする教室運営スタッフは、生徒が入塾を希望した際、初めて出会う大人でもある。
「最初に出会う大人としての安心感を高めていきたい、という思いはありますね」
児玉谷さん自身も学校に行けなくなった経験があるからこそ、つまずきや挫折を経験した方にとって、信頼できる人に出会えるかどうかの重要性は理解している。
高校生の時、パニック障害になってしまったことがある。家から出られない、学校にも行けない。そんな時、学校のある友人が、自分のことをいつも心配してくれていた。
学校に行けない分、勉強も遅れてしまっていた。予備校に行ってもついていけない。そんな時にお世話になった家庭教師は、いつも自分のペースに合わせて、勉強を進めてくれた。
「人って誰か一人でも、今の自分を受け入れてくれている、考えてくれている、と思うだけで、安心すると思うんです」
生徒一人ひとりの気持ちを受け止めながら関わり、「塾に行ったら喜んでくれる先生やスタッフがいる」という安心感をもってもらえるように。
本人のペースに合わせて勉強を進め、「この問題が解けた!」という小さな成功体験を積み重ねていけるように。
それらの安心感や成功体験が、“自分の目標に向かって、少しずつでも進んでいっている”という実感につながると、児玉谷さんは考えている。
より多くの人に支援を届けられるように
秋葉原校舎は生徒が約80人、講師が約40人在籍している。一人ひとりに丁寧に向き合い、関わっていきたいと思う一方、全員に目を配ることが難しいことも現状としてある。
「今ある仕組みが最善なのか?は、問い続けないといけないと思っています」
仕組みが整えば、少ない人数でも、一人ひとりをきめ細やかに把握できるようになるかもしれない。難しい問題ではあるが、取り組んでいきたいと思っている。
キズキでは、現状をよりよくしていくためのアイディアは歓迎されている。これまでのやり方を疑わずに取り組むのではなく、さらに効率のよい支援の仕組みや、より多くの人に支援を届けるための仕組みを、常に考え続ける必要がある。
最後に、キズキで働くことに向いている人はどんな人か、訪ねてみた。
「教室運営スタッフは、生徒さん、保護者さん、学校の先生、講師の方…など様々な人と接する仕事です。自分の考えを押し付けるのではなく、関係者の多様な意見を受け止めて、一緒に考えて向き合っていける。そんな方が向いているのではないかな…と思います」
つまずき、挫折しても、何度でもやり直せる。
そんな社会を少しずつでもつくっていけるように、自分にできることは何だろうか。
児玉谷さんは今日もそれを、模索し続けている。
スタッフ募集:キズキ共育塾・教室運営スタッフ
キズキ共育塾では、教室運営スタッフ(正社員)を募集しています。教室運営スタッフの仕事は、主に二つあります。一つは生徒の出欠連絡受付や授業予定管理、講師給与の管理などの「事務業務」、もう一つは入塾希望の方との面談など、困難を抱えた方への「支援業務」です。現在の教室運営スタッフは、ほぼ全員が関連業種未経験からのスタートしています。
興味関心のある方は、下記の「スタッフ募集の詳細」からご連絡ください。
団体名 | 株式会社キズキ |
職種 | キズキ共育塾(学習塾)教室運営スタッフ |
雇用形態 | 正社員 |
給与 | 25万円(試用期間中4~5カ月は23万円) 賞与:年一回(実績平均0.8ヶ月) 昇給:一年に2回評価・見直しあり【年収例】 ・入社2年目(30歳)/390万円 ・入社3年目(29歳)/450万円 ※エリアマネージャー ・入社7年目(29歳)/600万円 ※事業責任者 |
福利厚生 | ・健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険 ・交通費全額支給 |
業務内容 | 学習教室運営にかかわる業務全般 ◆事務業務 ・授業管理(生徒の出欠、講師の勤怠) ・教室受付業務(問い合わせ対応など) ・授業スケジュール管理 ・教室経理(授業料の請求業務、講師アルバイトの給与計算)◆支援業務 ・入塾希望者の面談 ・講師アルバイトの採用面接、研修 ・授業のマッチング(完全個別指導のため、講師と生徒さんのマッチングが発生します) |
期待する成果 | ◆電話、メール、対面問わず、相手の方と柔軟なコミュニケーションを取れること 様々な方からのご連絡を受けていただく最初の窓口になります。ツールを問わず、柔軟に対応していただきたいと考えています。 ◆マルチタスクで並行して業務を処理できること 授業の実施管理(欠席連絡、振替希望対応)と並行して、入塾面談日程の調整、問い合わせ対応等一日に200件近くのメールを受信します。同時進行に発生する業務をスピーディーに処理できる方を募集しています。 ◆相手の気持ちに寄り添って、心配りができること 千差万別の生徒・保護者に対して「よいと思う支援」を押しつけるのではなく、一人ひとりの状況に想像力を持ち、論理的に支援方法を検討できる力が求められます。 (※支援業務ができるようになってからの求める人物像です。相手の気持ちに寄り添い、心配りができることをスタートに、経験と知識を徐々に積み重ねていっていただければ十分です。) |
勤務地 | ①首都圏(東京・神奈川)転居を伴わない範囲での異動有り ②名古屋校(新規開校予定) のいずれか |
勤務時間 | 火~土曜日の9時30分~21時30分までの間で、週5日・1日8時間(1週40時間)の時間シフト制 日曜・月曜は定休 |
休日休暇 | ①基本:完全週休2日制(祝日は勤務日となります) ②年間休日:111日 ③年次有給休暇:あり(6か月継続勤務で17日付与、以後勤務継続1年毎に付与。日数は法定日数+7日で17日間。毎月5週目を有給取得奨励日としており、連休を取得する社員も多いです) ④その他の休暇:年末年始休暇(12月29日~1月3日)、忌引休暇 |
応募資格 | 基本的な事務スキル(電話対応、メール対応・PCの基礎スキル) 必要な資格や経験等はありません(ほとんどの社員は「教育業界」「支援業界」未経験で入社しています) |
求める人材像 | ・福祉教育にかかわる分野をビジネスで行いたいと考えている方 ・弊社の理念と行動規範をご理解くださる方 |
採用予定数 | 4名 |
選考プロセス | 1.書類選考(応募フォーム審査) 2.面接(3回を予定) 最終面接以外は、関東圏校舎またはオンラインで行います。 最終面接は、関東圏校舎で行います。 同日内で複数回の面接を実施することも可能です。 詳細は、書類審査通過後、個別に調整いたします。 3.内定 ご応募から内定までの期間は、1か月程度を想定しています。 |
Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、山田友紀子が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報をご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。