電気代の一部をNPO・NGOなどの社会貢献活動へ寄付する電力サービスを提供している「ハチドリ電力」(運営:株式会社ボーダレス・ジャパン)は、電力卸売取引価格の慢性的な高騰により、3月24日に新規申し込みを停止するとしました。
同様に寄付ができる電力サービスを提供している「エネルギーファンディング」(運営:エネラボ株式会社)も、2月から新規利用の申し込みが停止しています。
ハチドリ電力、エネルギーファンディングともに、多数の寄付先候補から支援先を選ぶことができる電力プランを展開しています。現在の契約者については、従来通りの電力サービスを提供するとしていますが、社会貢献団体への新たな支援が停止する状況にもなっており、今後、さらなる影響の広がりが懸念されます。
新規申し込みが停止された背景とは?
電力卸売市場の価格高騰などを受け、経済産業省によると、去年1月から3月25日までに15社の新電力が事業から撤退しています。主要な電力調達源が日本卸電力取引所・JEPXとなっている新電力への影響が大きくなっています。なお、FIT電気も日本卸電力取引所・JEPXの電力卸売価格にて取引されています。
「ハチドリ電力」は、自然電力株式会社の取次事業者となっており、2020年度の電源構成はFIT電気100%となっています。また、「エネルギーファンディング」は、小売電力事業社のエネラボ株式会社が運営しており、平成31年4月1日〜令和2年3月31日の実績値で卸電気取引所が31.55%、FIT電気が5.07%となっています。両者とも高い割合で、日本卸電力取引所・JEPXから電力を調達しているため、新規申し込みを停止としたと考えられます。
SDGsの追い風で広がる中、冷や水に
「ハチドリ電力」は、現在、寄付先となっているのは65団体となっており、「エネルギーファンディング」は、2021年9月時点で、約150団体以上が寄付先となっているとしています。社会貢献団体にとって、電気代の一部からの寄付が貴重な財源となっていると考えられます。
SDGsの取り組みが広がり、環境への配慮や、寄付つき商品が広がる中、個人や法人がNPOやNGOへ気軽に継続的な寄付できるモデルとして注目されていましたが、今回の件で一時停止を余儀なくされています。欧州情勢や原油先物価格等が落ち着く見通しがついておらず、長期化が予想され、さらなる悪化も懸念されます。
なお、日本卸電力取引所JEPXから電力調達の割合が少ない電気サービスについては、現在も通常通り新規の申し込みを受けています。今後、環境への配慮、社会貢献団体への支援などを考え、電気の切り替える際は、提供されている電力サービスの電源構成をしっかりと確認したうえで、安定的な電力の提供が可能な運営となっているか事前の確認をオススメします。
<参照記事>
・ハチドリ電力:新規お申し込み一時停止のお知らせ
・エネルギーファンディング
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。
カケハシ電気
地域の電力会社に比べて料金が安く、社会や環境に貢献できるSDGsな「カケハシ電気」。日本卸電力取引所・JEPXの割合は全体の1割以下であり、JEPXの高騰の影響を受けにくい形になっており、安定した運営を継続しています。