国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は、2021年12月に実施した二つの調査から、重症度の高い抑うつ症状を呈する子どもほど、「すぐ誰かに相談する」と回答した子どもが少なく、「誰にも相談しないでもう少し自分で様子をみる」と回答した子どもの割合が多くなっているという報告をまとめました。
「生活と健康実態調査」では小学5~6年生の9%、中学生の13%に、「コロナ×こどもアンケート」では小学5~6年生の13%、中学生の22%に、それぞれ中等度以上の抑うつ症状がみられました。
典型的な抑うつ症状を呈している子どもの描写を読んでもらった後に、その子が置かれている状況について解釈する質問をしたところ、小学5年生~中学3年生の 94~95%が「助けが必要な状態である」と回答したにも関わらず、「もしあなたが同じような状態になったら誰かに相談しますか」という質問に対しては、小学5~6年生の25~29%、中学生の35~51%が「相談しないで自分で様子をみる」と回答しました。
国立成育医療研究センターは、このような回答に対して、自分が鬱になってしまっても周りに相談することなく自分で抱え込んでしまうことを示唆しており、抑うつ症状が重いこどもほど、割合が高くなっているとしています。
また、このような状態のこどもたち救うためには、家庭、教育機関また社会全体が、こどもたちのこころの状態の変化を敏感に感じ取り、支援に繋げていくことが重要であるとしています。
<参照記事>
・「コロナ×こども本部」調査報告 鬱(うつ)になっても「誰にも相談せず様子をみる」こども25~51%
Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。