アナタが子どもたちの前に立って話す時、子どもたちはどんな様子で話を聞いていますか?違う方向に顔が向いていたり、下で砂いじりをしていることはありませんか?
子どもたちは、とても飽きやすく、理解できる言葉も限られます。子どもの前で話をするということは、どんな取引先の重役の前でプレゼンテーションをするよりも難しいことなのかもしれません。
今回は、子どもの前で話す際に押さえておくべき3つの注意すべき点について述べたいと思います。
①話が長い
一つは、話が長いということです。子どもは自ら興味関心を持ったもの以外に対しては、基本的に集中力がほとんど続きません。学年や年齢にもよりますが、低学年は3分も話を聞いていればうんざりとしてくると思います。
子どもの前で話をする際には、それは本当に必要な話かよく考えましょう。できるだけ伝えたいことを端的に伝えるようにまとめておきます。よくあるのは一度にたくさんのことを話そうとしてしまうことです。一から十までのこと一度に話す必要がなければ、はじめに一から三までのことだけを伝え、四以降のことは後で伝えれば良いのです。
子どもたちはなかなか覚えておくこともできませんので、必要な時に必要なだけ情報をタイミング良く出していくことが大切です。また、はじめにまとめて説明するのではなく、一緒にやりながら話をしていった方が良い場合もありますので内容に応じて流れを考えましょう。
相手に受けとめられる分量を考えずに、話し続けても伝わることはありません。対象としている子どもの年齢もよく考えて話の内容をよく精査し、適度に区切りを入れながら話していくようにしましょう。
②話がわかりにくい
二つ目に話がわかりにくいということがあります。言葉、スピードや音量、順序を工夫するだけでも大きく変わります。
まず、言葉ですが大人がごく自然に使っている言葉であっても子どもたちからはわかりにくい言葉を使っていることがあります。難しい漢字はもちろんですが、カタカナ言葉や専門用語なども使ってはいけません。できる限り置き換えて説明できないか考えてみましょう。
対象としている子どもの年齢よりも下の子でもわかるような言葉を選ぶことが大切です。小学校高学年なら低学年でもわかる言葉で、低学年なら幼児でもわかるような言葉を選びましょう。
次に話のスピードや音量です。人前だとついつい早口になってしまう方をよく見かけますが、子どもたちからすれば全く頭に残らない話し方です。
では、ゆっくりならいいのかということですが、そうではありません。また、声も大きいことにこしたことはないのですが、大きければ良いということもありません。子どもに話す際には、抑揚やテンポ感がとても大切で、スピードや音量で強弱をしっかりとつけると伝わりやすくなります。どこを強調しているのかが明らかになっていることが大切です。
話す内容の順番もわかりやすく伝えるためには注意が必要です。結局のところ何が言いたいのかよくわからなかったとならないように、はじめに話の結論を先に述べておき、その理由や説明を後に話すようにします。
複数の結論を一度に伝えたい場合は、「○○について、3つ注意をしましょう。」と先にいくつのことをこれから話すのか伝え、その後「1つ目は、○○です。(なぜかというと…)」と各項目の結論を述べてから補足説明をしていくととても聞きやすくなります。また、後で「1つ目の注意は何だった?」と子どもたちにも確認がしやすくなります。
③話がつまらない
子どもたちに話をするということは、「難しいことをやさしく、やさしいことを面白く、面白いことは深く」というスタンスが大切です。もちろん、いつも面白いことばかり話すわけではありません。諸注意など子どもたちにとってつまらない話であっても、どうしたら子どもたちに興味関心を持ってもらえるのかを考える必要があります。
話の上手な方の話は、子どもも大人も時間を忘れて集中して話を聞くことができ、話の終わった後も内容を覚えているものです。何でも笑い話にしようということではなく、子どもたちが真剣に、夢中になって耳を傾けてもらえるかを考えるということです。
伝えるべき内容に応じて、子どもたちの興味関心を惹きつけるための工夫は欠かせません。時には、言葉だけでなく大きな動作を取り入れてみたり、図や絵などを用意しておいて活用するのも有効的です。
楽しい話やユーモアを取り入れ易い話は比較的容易ですが、子どもたちにとっては楽しくない話をする時ほど難しく、大人側の力量が問われます。大声で怒鳴っても短期的にその人の機嫌を伺うようにはなりますが、子ども自身は何が悪いのかわからず、良い変化も生まれてきません。
教員、保育士など子どもと関わる職業の方のみならず、これまで子どもたちに関わる多様な大人を見てきましたが、話が上手いと感じる人ほど、必ずと言っていいほど事前の準備が徹底されています。いつ、どこで、何を、どのように子どもたち伝えるべきか、事前に考えて話している人は、何よりも子どもに対して自信を持って話すことができています。
誰でも話し方には、多かれ少なかれ癖があり、すぐに簡単に変えられるものではありませんが、試行錯誤を重ねることで徐々に変えていくことができるものです。ぜひ、子どもたちにとって、魅力的な場や機会を作っていくうえで参考にしていただければ幸いです。
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。