カナダ

コロナ禍でも留学ができるようになったカナダの今-感染対策の徹底や、留学生が孤独に陥らないための工夫

新型コロナウイルスの影響で、海外留学が難しくなった昨今。その中で「カナダ」は数少ない留学渡航国です。カナダはどのような感染対策を行ない、留学を可能にしているのか。また、留学生はどのように過ごしているのか。今後、他国が留学生の受け入れについて検討する上で、参考にできる部分が多くあると思われます。

全世界で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)。感染拡大に伴い、誠に残念ながら海外留学を断念された方も数多くいると思います。多くの教育機関からも、学校提携の短期留学はキャンセルせざるを得ない状況と伺いました。

ワクチンの開発に期待するとともに、現在、数少ない留学渡航可能国であるカナダの取り組みについて、お伝えしたいと思います。

まず一番はじめに伝えたいことは、昨今、日本人学生が全般的に海外志向でなくなってきていると耳にしますが、私自身のこの数年の経験を踏まえますと、そんなことはないと感じています。

諸外国への留学が現在困難であることもありますが、このような緊急時におきましても、近年カナダへの中学、高校留学の学生の数は年々増えている傾向にあります。

前編の記事では、カナダにおける政府の安全予防対策、留学の様子、教育現場の取り組みなどについて、言及したいと思います。

コロナ禍でも留学ができるようになったカナダ

カナダが実施した留学生の受け入れ対策

カナダは2020年3月18日にロックダウンを行い、世界から留学する学生で、3月18日までに学生ビザを取得していない学生の渡航を不可としました。

教育委員会から夏には渡航が可能になるはずと聞いていましたが、結果的には、政府の留学生の受け入れ準備が整った10月20日から渡航が可能になりました。

カナダ政府は、あるシステムを作成、施行しました。

そのシステムとは、まず各学校が留学生のコロナ安全対策、予防方法、施設の消毒方法、そしてもしコロナにかかった場合のサポートシステムについて計画書を作成し、政府に申請する。そして、政府がこの計画書だったら受け入れ可能と判断した学校のみ学生ビザを発行することができる、というものです。

また入国時の混雑を防ぐため、渡航前に学生ビザの取得、隔離方法を事前に提出できる「ArriveCan」というアプリを開発し、入国手続きの効率化を実現しました。

変異種が発見されてからは、渡航前72時間以内にPCR検査を受け陰性証明書を持参して飛行機に搭乗、到着してからも14日間自主隔離を行う必要があるとしました。

加えて、2021年施行予定の対策についてです。カナダに到着してからPCR検査を再度受けて頂き、3日間政府指定のホテルで滞在。陰性証明ができた時点で、各宿泊先へ移動という流れになります。

正直、新しい規制となりますが、変異種の拡大に備え、こういった対策を施行することは長期的に考えると大切です。実際に留学される方々や、カナダ国民の安心・安全の確保のためにも、実施することが必要だと思います。

ArriveCAN(カナダ入国者は入国までの48時間以内で渡航出発前までにArriveCANで情報の提出が義務)

2週間の自主隔離中も、孤独に陥らないように工夫

到着してすぐ2週間の自主隔離は、不安な学生も多いと思います。「ウエストコーストインターナショナル」としては数名の日本人留学生を一緒の家で過ごしてもらうようにし、孤独にならないようにしました。

思った以上にホームステイファミリーが協力して下さりました。2週間の隔離の間も工夫して、オンラインで一緒に食事をしたり、お食事にお手紙を添えて下さったり、留学生が外にいけるようにお庭の一部を専用のラウンジにして下さったりと、涙が出るほどご協力くださったホストファミリーには心から感謝しています。

学生の皆さんには、日中は基本的にオンライン授業を受けてもらうことで必然的に忙しくなり、問題なく過ごすことが現在できています。

一番大事なのは、孤独にならないこと、隔離期間中忙しくすることが大切だと思います。

私自身は、日本で2週間隔離、カナダで2週間隔離、PCR検査も唾液も鼻からの検査も両方経験していますが、忙しくしているとあっという間に2週間は経ってしまうので1年に何回もやりたいとは思いませんが、一回やる分にはいい経験になるのでは、と思います。ものすごく平凡な日々の生活への感謝の気持ちが湧きました。

コロナ禍でも留学ができるようになったカナダ(カナダで2週間の自主隔離が終わってのランチ)

各学校のコロナ対策

州立大学はすぐに、ほぼオンライン授業に切り替わりました。そのため、日本にいながら大学に渡航しないでも授業を受けることができたのは良かったと思います。日本からは時差があり大変なので、カナダでオンライン授業を受ける学生も多いです。

私立高校と語学学校は通学授業、またはオンライン授業を選べる学校が多いです。公立の学校で、幼稚園から高校3年までは基本的には通学となっています。

感染者が多い地域では、水曜日に学校の施設を消毒するため通学とオンラインを両方取り入れている学区もあります。感染者がいない地域は、基本的には通学授業でクラブ活動も行っています。

Author:細越美和
Westcoast International Education Consulting in Canada Ltd. 代表。
2004年にカナダ・バンクーバーにカナダ留学を支援するウエストコーストインターナショナルを設立。質の高い英語教育、多文化理解、才能教育に力を入れ、これまでに4,000人以上の留学生をサポート。15年間に渡り、発達障害や視覚障害を持つ留学生もカナダのインクルーシブな教育環境で支援経験あり。
さらに、カナダの教育システムの研究・広報活動として、カナダ州立教育機関の正式な日本窓口としてカナダと日本の教育機関の提携業務や日本の教育者向けのカナダ教育機関見学ツアー、カナダ大使館フェアでの州立教育機関のサポート等を行っている。
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