政治・制度

約7割の子どもが「こども家庭庁」の発足を知らない-こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

教室で考える日本人女子中学生

子ども支援専門の国際NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、セーブ・ザ・チルドレン)は、2022年6月から7月にかけて、18歳未満の子どもと高校3年生(18歳含む)を対象に、インターネット調査「こども家庭庁に関する子どもアンケート調査」(以下、本調査)を実施しました。その結果、約7割の子どもが「こども家庭庁」の発足を知らず、約3割の子どもが「子どもの権利」を基本的人権だと理解していないことが明らかになりました。

「こども家庭庁に関する子どもアンケート調査」の概要:調査対象は、日本(47都道府県)に在住する18歳未満の子どもと高校3年生(18歳含む)。インターネット調査ツール「QiQUMO」提携先会員の15歳~18歳の子どもによる任意回答、インターネット調査ツール「QiQUMO」のアンケートフォームを用いた一般の対象者(15歳未満を含む、高校3年生相当までの年令を対象とする)に対するウェブアンケートを実施。有効回答数は1,050人となり、回答の87%が高校生相当(16~18才)。

「こども家庭庁」に関すること

2023年4月に新しく「こども家庭庁」ができることを知っているか尋ねたところ、「こども家庭庁」が創設されることを知っている子どもは3割にとどまりました。

こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

また、「こども家庭庁」に優先的に取り組んでほしいことを尋ねたところ、いじめの対応、学びの場の提供(学習支援、フリースクールなど)、子育てに困難を抱える家庭(虐待、貧困など)への支援などが上位に挙げられました。

選択肢には「わからない」(約2%)もありましたが、8人に1人(約13%)が「答えたくない」を選択しています。この結果に対し、セーブ・ザ・チルドレンは、心理的安全性が担保されていない懸念や意見形成支援が必要な可能性があるとしています。

こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

小学生や中学生については、こども家庭庁に優先的に取り組んでほしいこととして、「子どもの意見を聴いてそれを子どものための取り組みに活かすこと」(意見表明・反映)がトップとなっています。

こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

自分の困りごとや悩みについて誰かに相談をすること

自分の身の回りの困っていることや心配なことについて、相手がどのような人・大人であれば話をしやすいと感じるか尋ねた質問では、「学校の友だちが」が約4割、「親やそのほかの家族」が約3割と身近な人を選択した子どもが多数となりました。

一方で、普段の生活では関わり合いの少ない「SNS上でつながった名前のわからない人」「ちがう学校に通っている同年代の子ども」を選択した子どもがそれぞれ約1割という結果となりました。

こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

自分の身の回りの困っていることや心配なことについて、どのような場所・方法であれば相談をしやすいと感じますかと尋ねた質問では、非対面でやり取りが可能な「チャット」と回答した子どもが約4割いるのに対して、対面で話す「学校」と回答した子どもは約3割でした。

こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

「わからない・答えたくない」という回答が2割以上あり、セーブ・ザ・チルドレンは、相談しやすい相手、場所が思いつかない子どもも一定数いることが推測できるとしています。

子どもの権利の認知度

学校で「子どもの権利」について学んだことがあるか尋ねたところ、約半数が子どもの権利を学んでいない、覚えていないと回答しました。また、3人に1人が子どもの権利を基本的人権だと理解していませんでした。

こども家庭庁に関する子どもアンケート調査(セーブ・ザ・チルドレン)

※基本的人権は、人が生まれながらにして持つ権利であり、義務や責任を果たすことで得られるものではない。

本調査の結果を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、来年4月の「こども家庭庁」発足に向けて、こども家庭庁の目的や役割、子どもの権利とは何かなどについて、改めて広く周知していく必要があるとしています。

<参照記事>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン:こども家庭庁に関する子どもアンケート調査結果

Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。
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