「放課後はゴールデンタイム」をビジョンに活動する特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクール(以下、放課後NPOアフタースクール)は、2023年11月14日に小学生の放課後の過ごし方に関する独自調査(以下、本調査)の結果を発表しました。
放課後NPOアフタースクールは、安全で豊かな小学生の放課後を日本全国で実現するために、学校施設を活用した放課後の居場所「アフタースクール」を運営し、これまでに21校の開校・運営等に携わりモデルを展開しています。また、企業や団体と連携し、子育て・教育プロジェクトを実施するソーシャルデザイン事業も推進しています。
本調査は、「世界こどもの日」に寄せて、小学生の子ども達の「遊び」に関する実態に焦点をあてた調査を、放課後という切り口を加えながら行ったものになります。2023年8月〜9月に、小学生の子どもをもつ男女へのアンケート(子どもへの聞き取り調査)、および小学生(1〜6年生)とその保護者へのインタビュー(対面またはオンライン)を通して実施され、アンケート調査では302件の回答、インタビュー調査では10組の親子、子ども4名からの回答がありました。
本記事では、調査結果の概要をお伝えいたします。
調査結果①10人に7人以上が「もっと友達と遊びたい」と回答
「放課後にもっと遊びたいですか?」の問いに、「もっと友達と遊びたい」と回答したのは76.2%でした。その回答割合は、高学年・都市部においてより高くなることがわかりました。
調査結果②放課後に友達と遊べない理由は「友達と予定が合わないから」がトップ
「どうして放課後に思うように友達と遊べないのか?」の問いに対して、「友達と予定が合わないから」が48.7%、次いで「自分が習い事・塾・宿題で忙しいから」が35.2%、次いで「友達が習い事・塾・宿題で忙しいから」が25.2%、「友達と遊べる場所がないから」が同じく25.2%でした。
調査結果③もっと遊べるようになるには「友達の遊べる日が増える」がトップ
「もっと友達と遊べるようになるには、どうなるといいか」という問いに対しては、「友だちの遊べる⽇が増える」が39.1%、次いで「遊び場が近所にできる」が35.7%、次いで「やらなきゃいけないことを減らして遊べる⽇を増やす」が33.9%でした。
調査結果④放課後に遊べない理由は「時間」「仲間」「空間」の3つの「間」に課題
小学生やその保護者へのインタビューでは、遊びに関する切実な声が挙がっていました。
▼時間について
・もっと遊ぶ時間がほしい。毎日学校が5時間で終わって早く帰れたらいいのに。(兵庫県5年生)
・習い事や宿題で時間がないから遊べない。宿題がまあまあ多い。宿題が少なくなったらいいなと思う。(京都府4年生)▼仲間について
・学童に友達がいるといいなと思う。元々はいたけど、やめちゃったから寂しい。(神奈川県4年生)
・友達と予定が合わなくて遊べない時がある。友達の習い事が多かったり、友達が遊べる日でも自分が学童だったりする。(東京都3年生)▼空間について
・学童がもうちょっと広かったらいいと思う。人数が多いとぎゅうぎゅうでうるさい。(大阪府1年生)
・公園はあるけど子どもが遊べるように整備されていなくて、危なくて遊べない。(宮城県4年生保護者)
調査結果⑤ルール・人・環境の制約のため遊べない場合もある
遊ぶための物理的な空間はあったとしても、ルール・人・環境の制約のため思うように遊べないという声があることも明らかになりました。
・学童は楽しくない。先生にダメって言われる。あばれたらダメ、しゃべったらダメ、外にも行けない。先生がやさしい人になってほしい。(兵庫県3年生)
・ドッジボールを楽しみに児童館に行っていたけど、職員さんにドッチボールを禁止されてから行かなくなった。職員さんがダメダメということがよくある。(長野県2年生保護者)
・共働きが多く、親同士の遠慮もあってお互いの家で遊ぶのは減っている。(北海道1・3・5年生保護者)
・以前、近隣からクレームがあり、学童の子たちが公園や外に出ることを控えている。(神奈川県2年生保護者)
今回の調査を通して、小学生の放課後に関する現状や課題が明らかになりました。放課後NPOアフタースクールは、今後もこうした実態調査を行うとともにに社会に発信することで、日本の放課後が子どもたちの視点に立った仕組み・環境へと進化していくことに寄与していくとしています。
<参照記事>
・【小学生の放課後の過ごし方に関する独自調査結果発表】 「放課後にもっと友達と遊びたい」小学生76.2% 友達と遊ぶ頻度「週1回以下」70.9%
Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、山田友紀子が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報をご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。