国内の親子を取り巻く社会課題の解決に取り組んでいる認定NPO法人フローレンス(以下、フローレンス)は、2022年4月に多胎児家庭専門の訪問サポートサービス「ふたご助っ人くじ」(以下、本サービス)の正式なサービス提供を開始しました。
本サービスは、多胎児(双子・三つ子など)家庭を対象に、保育の専門家が訪問し、保護者とともに育児を担うサービスです。
利用にあたっては、LINEで登録・利用・支払いまでの手続きが完結でき、ご利用希望日の前日15時~当日朝8時までに応募すると、9時までに当選連絡をするとしています。また、費用については、居住している自治体でのベビーシッター助成を活用することで実質無料となると伝えています。
フローレンスは、育児の手が不足しがちな多胎児育児の場では、育児補助へのニーズが非常に高いにも関わらず、多胎児家庭のサポートに特化した事業が少ないことから、このたびのサービス開始に至ったと述べています。
(認定NPO法人フローレンス:「ふたご助っ人くじ」の利用イメージ)
<「ふたご助っ人くじ」のサービス概要>
◆対象家庭:東京都千代田区・中央区・文京区・豊島区・北区・荒川区・葛飾区・江戸川区・武蔵野市・品川区にお住まいの方
※対象年齢は各自治体によって異なります。詳しくは公式サイト「料金・助成」をご確認ください。
◆料金:
・交通費:一律500円 /回
・保育料(15分単位で切り上げ):双子のご家庭5,000円(非課税)/時、三つ子のご家庭7,500円(非課税)/時
※居住自治体に対し利用者が助成の申請を行うことで実質無料となります。
◆利用時間:平日10:00~18:30(最短2時間から利用可能)
◆サポート内容:
・外出サポート(通院、お買い物、公園などでの見守り)
・育児関連全般(寝かしつけ、お食事、入浴サポートなども含む)
※保護者の方がいらっしゃる状態でスタッフがサポートします。
※ご依頼には万全の体制で対応しますが、ご要望にお応えできないケースもあります。
◆サービスサイト:
◆参考:2022年1月~3月トライアル運営時のくじ当選(ご依頼全件のうち実際に「ふたご助っ人」の派遣ができた件数)実績 89%
多大な育児負担を抱えている多胎児家庭の保護者
フローレンスは、多胎児家庭では多大な育児負担を保護者が一手に担っている状況だと指摘しています。生後0ヶ月・双子の1日の育児状況を見てみると、1日にオムツ替え28回、授乳は18回、沐浴も毎日2人分を行い、養育者がほぼ24時間つきっきりで育児にあたっている様子がわかりました。
(認定NPO法人フローレンス:生後0ヶ月双子の育児日記)
2019年にフローレンスが全国の多胎児家庭1,591世帯を対象に行った調査によれば、多胎児を育てる親御さんの89.1%が「外出・移動が困難」と回答しました。
外出困難かつ、現行の育児補助サービスが単胎家庭向けになっている状況もあり、多胎家庭が一時保育やファミリーサポートの補助を受けにくく、結果的に孤立してしまうケースも見受けられるとしています。
同調査では、「どのようなサポートがあれば気持ちが和らぐか?」という質問に対し、「家事育児の人手」(1,086名/68%)、「金銭的援助」(891名/57%)、「子を預ける場所」(831名/52%)と、家事・育児の物理的なサポートへのニーズが寄せられています。
本サービスは、2020年12月よりトライアル運営を行っており、実際に利用した家庭からは、「皆様のお陰で本当に身体だけではなく、気持ちも楽になっています」「前日の夜寝れなかったときに、8時まで応募できるので、寝不足の朝に応募して、身体を休める事ができた」「多胎育児を理解しているスタッフが寄り添ってくれるので安心感がある」といった保護者の心身の負担軽減につながったという感想がよせられています。
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。