神奈川県川崎市にある「川崎市子ども夢パーク」、通称「ゆめパ」。
ここは、子どもたちの”やってみたい”があふれる遊び場であり、ありのままの自分でいられる居場所でもあります。
そんな「ゆめパ」で、のびのびと過ごす子どもたちを描いた映画『ゆめパのじかん』が2022年7月より順次公開されます。制作は重江良樹監督。前作の『さとにきたらええやん』に引き続き、”子どもの居場所”のあり方を伝えています。
「川崎市子ども夢パーク」とは?
「川崎市子ども夢パーク」(以下、ゆめパ)は「川崎市子どもの権利に関する条例」(以下、川崎市子ども権利条例)に基づく施設として2003年7月に誕生しました。
「川崎市子ども権利条例」は、2000年12月に成立し、2001年4月より施行されています。条例の中で、子どもには以下の権利があるとされています。
1.安心して生きる権利
2.ありのままの自分でいられる権利
3.自分を守り、守られる権利
4.自分を豊かに、力づけられる権利
5.自分の決める権利
6.参加する権利
7.個別の必要に応じて支援を受ける権利
「ゆめパ」は子どもの権利を保障するための施設として、市民の参画により作られました。約1万㎡の広大な敷地には、子どものための様々な場所が存在しています。
・やりたい遊びを思いきり楽しめるプレーパーク
・音楽スタジオや創作スペース
・ゴロゴロしていても怒られない部屋「ごろり」
・学校に行っていない子どものための「フリースペースえん」 など
やってダメなことはなく、何をしてもいい。または何もしなくてもいい。ありのままの自分で、自分らしく過ごすことを保障された場で、子どもたちは思い思いに、のびのびと過ごしています。
(映画「ゆめパの時間」より掲載:「川崎市子ども夢パーク」の様子)
『ゆめパのじかん』のここが見どころ!
登場する子どもたちの表情がいきいきと輝いているのが非常に印象的な映画です。
一人で、または友達と一緒に、子どもたちはいろんな遊びややりたいことにチャレンジしています。どろんこになって遊んだり、高い場所から鳥のようにジャンプをしてみたり、虫を追いかけてじっと観察する子もいれば、時間をかけて木工にじっくり取り組む子もいる。
ルールや禁止事項がなく、何をしてもいい場所だからこそ、子どもたちは自分で考え、取り組み、感じ、経験している様子が伝わってきました。
また、「ゆめパ」をあげての行事ともなれば、運営するのは子どもたち。大人はあれこれと口出しをせずに、子どもたちに委ねていました。信頼関係がなければ、難しくてできないことです。「参加者」「お客さん」ではなく、作り手としての子どもたちの姿が、そこにはありました。
大人に言われたからじゃなく、自分がやりたいからやる。
その場所にいたいからいる。
映画全体を通して、主体的で能動的に遊び、過ごす子どもたちの姿が映し出されていました。登場する子どもたちから発せられる言葉には重みがあり、ハッとさせられる場面が多くありました。
子どもは決して未熟な存在ではなく、多くの力を持っている。そして、自ら育っていく力もある。そのことを、映画を通じて多くの大人に感じてもらいたいです。子どもに関わる仕事やボランティアをしている方、子育てをしている方々はもちろん、子どもに普段接する機会のない方々も楽しんでいただけるドキュメンタリー映画です。
『ゆめパのじかん』は、7月9日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開です。上映スケジュールなどの詳細は、以下の公式サイトよりご確認ください。
Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、山田友紀子が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報をご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。