2015年4月に政府主導の国民運動の「子供の未来応援国民運動」が発足し、「子供の未来応援基金」が設置され、民間からの寄付を募っています。
これに対して、3月2日の参院予算委員会の基本的質疑の中で民主党の蓮舫議員より質疑が行われました。
本基金には、2016年2月28日現在で1,942万円が集まっていると一億総活躍担当大臣の加藤勝信氏から報告がありました。この基金に対する呼びかけに対して、すでに広告費として2億円の税金が投入されていることも明らかになりました。
加藤大臣は、「この費用は、広報のみではなく、国民運動としての広報・啓発活動として使っている」と説明しました。
(図表引用:民主党・参院予算委「ばらまきよりも、子育てにお金を使うべき」蓮舫議員が訴え)
「子供の未来応援基金」は、次の2つの事業に使用される予定です。
①「未来応援ネットワーク」事業:貧困の状況にある子供等に寄り添って草の根で支援を行っているNPO等に対して支援を行い、社会全体で子供の貧困対策を進める環境を整備。
②子供の「生きる力」を育むモデル拠点事業:地域に子供たちの居場所となる拠点を整備し、自己肯定感や自己管理能力など「生きる力」を育むプログラムを提供。プログラムは民間企業等のノウハウ等を結集し、地域の実情に応じたものを作成し、拠点には子供たちを見守る管理者やソーシャルワーカーを配置。
民主党の蓮舫議員の「子供の未来応援基金」に、なぜ、国費を投入しなかったのかという質問に対し、一億総活躍担当大臣の加藤勝信氏は、「弾力的に活動してもらうために、民間資金にした」と答弁しました。
蓮舫議員は、「民間資金は安定財源ではない。一方で国費基金には、子どもの貧困対策とはレベルの違う潤沢な資金が積み上げられている」と指摘し、無駄に基金を積み上げるのではなく、必要なところに必要な予算を使うよう求めました。
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。