不登校・ひきこもり

学校や社会でつまずいた若者の再スタートを支える(前編)-生徒と講師をつなぎ、学習をサポートする伴走者

“何度でもやり直せる社会をつくる”

これは、不登校・引きこもり・中退など、困難を経験した方向けの事業を行っているキズキグループのミッションだ。人の”やり直したい”気持ちをサポートしていけるように、学習支援事業や就労支援事業など、様々な側面から支援を展開している。

その事業の一つである「キズキ共育塾」で働く一人の女性に、今回インタビューを行なった。彼女の名前は児玉谷亜貴(こだまやあき)さん。校舎の教室運営スタッフとして、2年前から働いている。

キズキ共育塾は、“もう一度勉強したい”人のための個別指導塾である。不登校や中退、引きこもりを経験しているなど、勉強にブランクがある方の学び直しをサポートしている。

教育や福祉について、元々専門的に学んでいたわけではない彼女が現在の仕事に至るまでに、どのような経緯や想いがあったのだろうか?

キズキ共育塾:児玉谷亜貴

学校での居づらさを感じた過去

児玉谷さんの前職は、物流の業界で輸出入の手配をする仕事。物流を通じて、社会のインフラを支えたいという思いから選び、5年ほど働いた。働くうちに、「もっと人と接する仕事がしたい」と感じるようになったが、なかなか自分に自信が持てなかった。

児玉谷さんには、小中高と学校での居づらさを感じた経験があった。一時、学校に通えなくなってしまった時期もある。

「自分と同じように、学校に行き難くなっている人のための仕事ができたらいいな…と漠然とは思っていました」

しかし、学生時代は特に教育や福祉の勉強をしていたわけではない。抱いていた想いを、実際の仕事にするイメージは沸かなかった。

ボランティアから少しずつ膨らんできた想い

キズキ共育塾:児玉谷亜貴

”ボランティア”という形ならできるかもしれない―。

そう思い、不登校の支援をするボランティアを探してみることに。しかし、なかなか今の自分のライフスタイルに合いそうな内容のものがない。

そんな時たまたま、児童養護施設を退所した方のサポートをするボランティアが目に留まる。不登校の支援ではなかったが、広い意味での若者支援という内容で、興味が沸いた。縁あって2~3年ほど携わることとなる。

大学進学の奨学金を集めるためのイベント(スピーチコンテスト)に出場する若者を、社会人ボランティアが支えるという内容。逆境の中でも前を向いて進んでいる若者との出会いに、刺激を受けた。

「世の中で生きづらさを感じている人の居場所を作るような仕事をしたい」

はじめは仕事にできるわけないと思っていた。

でも、できるかもしれない。いや、そうしたい。

児玉谷さんの中にあった想いが少しずつ膨らみ、思いきって転職活動をスタート。それがキズキとの出会いとなる。

「何か目標があって、その目標を応援できるような仕事の内容に魅かれました」

自身の経験とキズキのビジョンが重なった。

“生徒”と“講師”の出会いを支える

児玉谷さんは現在、教室運営スタッフとして勤務している。生徒の入塾手続きや出欠の管理、講師の採用面接など、携わっている業務は様々だ。

生徒に直接勉強を教えるのは「講師」の役割。キズキ共育塾の秋葉原校には、約80名の生徒に対して、約40名の講師と、多数の講師が在籍している。生徒の学習や成長を一番身近で支える講師と生徒を、まずマッチングさせていくことが、教室運営スタッフの重要な役割である。

「この塾には、いろんな背景や個性を持っている方々が来ます。たくさんの先生の中から、生徒さんにとって一番合う先生、無理なく塾に通って一緒に勉強をがんばれるような先生と出会ってほしいな、と思っています」

キズキ共育塾:教室運営スタッフは、生徒や講師の話をしっかりと聴き取っていくことが第一に重要な業務(教室運営スタッフは、生徒や講師の話をしっかりと聴き取っていくことが第一に重要な業務)

生徒自身が解決に向けて動いていけるように

つまずいたり、挫折した経験がある方々にとって、前を向いて一緒に歩んでいく“伴走者”の存在はとても大きい。生徒一人ひとりの不安な気持ちに寄り添えるかどうか、自分の考えを押し付けすぎないかどうか。講師の採用面接では時間をとって、じっくり話を聞いていく。

普通の学習塾とは違い、学習指導に加えてメンタル面の支援も伴う。当然、講師自身の負担も大きくなる。生徒に対してあまりに感情移入し、共倒れになってしまわないように、良い意味で冷静に、論理的に物事を考えてもらえるかどうかがキーとなる。

「抱えている問題を解決していくのは、最終的には生徒さん自身だと思っています」

一人ひとりが何に困っているのか。支援者側の思い込みではなく話をじっくり聞いて、本人自身が解決に向かって動いていけるようにサポートすること。

もちろん、勉強のやり方がそもそもわからない方に対しては、進め方や計画の立て方など、知識的やノウハウを教えることもある。

「ただそれも一方的ではなく、生徒さん自身の意思を尊重しながら、気持ちを伺って進めていくことが大切ですね」

講師が生徒の主体性を大事にしながらサポートしていけるように、講師への研修や相談会なども定期的に実施している。授業の後に報告をしてもらい、その内容にも目を通す。講師が一人で抱え込んでしまわないように、いつでも相談に乗ることができるような体制を作っている。

生徒と講師をつなぎ、双方のフォローアップをしていく。それが児玉谷さんの役割である。

スタッフ募集:キズキ共育塾・教室運営スタッフ

キズキ共育塾では、教室運営スタッフ(正社員)を募集しています。教室運営スタッフの仕事は、主に二つあります。一つは生徒の出欠連絡受付や授業予定管理、講師給与の管理などの「事務業務」、もう一つは入塾希望の方との面談など、困難を抱えた方への「支援業務」です。現在の教室運営スタッフは、ほぼ全員が関連業種未経験からのスタートしています。

興味関心のある方は、下記の「スタッフ募集の詳細」からご連絡ください。

スタッフ募集の詳細

団体名 株式会社キズキ
職種 キズキ共育塾(学習塾)教室運営スタッフ
雇用形態 正社員
給与 25万円(試用期間中4~5カ月は23万円)
賞与:年一回(実績平均0.8ヶ月)
昇給:一年に2回評価・見直しあり【年収例】
・入社2年目(30歳)/390万円
・入社3年目(29歳)/450万円 ※エリアマネージャー
・入社7年目(29歳)/600万円 ※事業責任者
福利厚生 ・健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険
・交通費全額支給
業務内容 学習教室運営にかかわる業務全般
◆事務業務
・授業管理(生徒の出欠、講師の勤怠)
・教室受付業務(問い合わせ対応など)
・授業スケジュール管理
・教室経理(授業料の請求業務、講師アルバイトの給与計算)◆支援業務
・入塾希望者の面談
・講師アルバイトの採用面接、研修
・授業のマッチング(完全個別指導のため、講師と生徒さんのマッチングが発生します)
期待する成果 ◆電話、メール、対面問わず、相手の方と柔軟なコミュニケーションを取れること
様々な方からのご連絡を受けていただく最初の窓口になります。ツールを問わず、柔軟に対応していただきたいと考えています。
◆マルチタスクで並行して業務を処理できること
授業の実施管理(欠席連絡、振替希望対応)と並行して、入塾面談日程の調整、問い合わせ対応等一日に200件近くのメールを受信します。同時進行に発生する業務をスピーディーに処理できる方を募集しています。
◆相手の気持ちに寄り添って、心配りができること
千差万別の生徒・保護者に対して「よいと思う支援」を押しつけるのではなく、一人ひとりの状況に想像力を持ち、論理的に支援方法を検討できる力が求められます。
(※支援業務ができるようになってからの求める人物像です。相手の気持ちに寄り添い、心配りができることをスタートに、経験と知識を徐々に積み重ねていっていただければ十分です。)
勤務地 ①首都圏(東京・神奈川)転居を伴わない範囲での異動有り
②名古屋校(新規開校予定) のいずれか
勤務時間 火~土曜日の9時30分~21時30分までの間で、週5日・1日8時間(1週40時間)の時間シフト制
日曜・月曜は定休
休日休暇 ①基本:完全週休2日制(祝日は勤務日となります)
②年間休日:111日
③年次有給休暇:あり(6か月継続勤務で17日付与、以後勤務継続1年毎に付与。日数は法定日数+7日で17日間。毎月5週目を有給取得奨励日としており、連休を取得する社員も多いです)
④その他の休暇:年末年始休暇(12月29日~1月3日)、忌引休暇
応募資格 基本的な事務スキル(電話対応、メール対応・PCの基礎スキル)
必要な資格や経験等はありません(ほとんどの社員は「教育業界」「支援業界」未経験で入社しています)
求める人材像 ・福祉教育にかかわる分野をビジネスで行いたいと考えている方
・弊社の理念と行動規範をご理解くださる方
採用予定数 4名
選考プロセス 1.書類選考(応募フォーム審査)
2.面接(3回を予定)
最終面接以外は、関東圏校舎またはオンラインで行います。
最終面接は、関東圏校舎で行います。
同日内で複数回の面接を実施することも可能です。
詳細は、書類審査通過後、個別に調整いたします。
3.内定
ご応募から内定までの期間は、1か月程度を想定しています。

スタッフ募集の詳細

Author:Eduwell Journal 編集部
本記事は、山田友紀子が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報をご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。

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