「ニートやフリーターから脱して、正社員として就職したい!」「職歴のなしの第二新卒・既卒から正社員の就職を目指したい!」「仕事を辞めてからしばらくブランクがあるけど、また正社員として働きたい!」と思っても、どうやって就職活動をして良いかわからないという若者のために、様々な理由から「働く」につまづいた若者の就職支援の経験から、参考となる情報をお伝えします。
前回の記事では、就職活動の専門家・パートナーの重要性についてお伝えしました。今回は、就職活動の専門家・パートナーの活用方法をお伝えします。
「丸投げ相談」では支援できない
実際に若者就職支援に関する専門機関・団体に行ってみたけれど、「どのように相談したら良いかわからない」「思うような結果が得られなかった」というお話を聞くことがあります。担当者との相性が悪かったということもありますが、複数の場所へ足を運んでみても同様の印象を持った場合は、専門家・パートナーを上手く活用できていない可能性があります。
第一に前提として理解しておかなければならないのは、健全な支援者(専門家・パートナー)であれば、勝手に相談者の進路を決定したり、意図的に特定の仕事へ誘導・斡旋をすることはしないということです。支援者は、求職者の意志や希望を一番に尊重しつつ、実際の労働市場の求人状況と照らし合わせて上手くマッチングできるポイントを考えていきます。
その支援者の立場からすると、「就職できれば何でも良いです」「何もやりたいことはありません」というような「丸投げ相談」には、なかなかお答えが難しくなります。本人の意向もわからない状況では、どんなに優秀な支援者であっても、何を紹介したり、説明したりすれば良いかもわかりません。健全な支援者ほど、「責任の持てない返答は出来ない」と考えています。
もし、丸投げ相談が上手くいって仕事に就くことができたとしても、上手くいかなくなれば「あの人に紹介されたからやってる」「紹介した人が悪い」と責任転嫁してしまうだけでしょう。
支援者は、あくまでも伴走者であり、人生という道を走り、どの方向に進路を決めていくかは、主役である本人にしかできないことなのです。明確なものでなくても良いので、自分なりの意向や希望を整理して伝えようという努力は必要です。その小さなヒントが積み重なっていくことで、支援者も色々な紹介や助言ができるようになります。
逆に条件やこだわりが多すぎてしまい支援者として困ることはないのかと言われれば、確かにそういう場合もあります。もちろん、条件やこだわりが多いほど全ての条件を満たした仕事に就ける可能性は低いのですが、まだ一緒に精査していくことができる情報があるだけ支援者としては相談にものりやすいのです。
「必要とされていることは何か」という視点を持つ
将来の自分の方向性を考えても、なかなか糸口を見つけられないという人もいると思います。「やりたいことは何か」から考えるよりも、「必要とされていることは何か」という視点から考えてみてはいかがでしょうか?
業種・職種によって求人倍率は全く違います。(参考:DODA:転職求人倍率レポート)求人倍率が高いほど、人手を必要しており、活躍できる場も多く、企業側も雇用に対しても積極的だということです。年齢を重ねるほど業種・職種を途中で変えていくことはなかなか難しくなってきます。
求人倍率が高い業種・職種で、知識や技術を身につけていくことができれば、将来的な仕事の選択肢も広げることができます。残念ながらいくら知識や技術を身につけても、人を必要としなくなっていく業種・職種では、将来的な仕事の選択肢は必然的に狭くなっていってしまいます。
まずは、業種・職種などでの求人倍率などを調べて、現代、そして、これからの社会で人手を必要としているのかを考えてみることは、自分の将来を考えるうえでも有意義です。
求人倍率の高い業種・職種をイメージだけでなく、具体的な仕事内容を調べ、自分の興味・関心と少しでも重なるところがあれば、それを支援者に伝えてみてください。今できることが少なかったとしても、「この業種・職種でこれから知識や技術を学んでみたい」という意向があれば、それも十分な志望動機になります。
フリーターやニートで正社員としての働いた経験のない方、仕事を辞めてブランクがあった方などを対象に、無料でキャリアカウンセリングや就職活動に必要なことが学べるセミナーを受けられ、正社員としての就職を支援してくれる公的機関や民間企業を下記にご紹介します。(随時更新)
行政・自治体が行っている若者の就職支援(無料)
若者サポートステーション
地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリア・コンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への職場体験などにより、就労に向けた支援を行っています。
サポステは、厚生労働省が認定した全国の若者支援の実績やノウハウのあるNPO法人、株式会社などが実施しています。現在、住んでいる場所からお近くのサポステを訪ねてみてください。
ジョブカフェ(若年者のためのワンストップサービスセンター)
若者が自分に合った仕事を見つけるためのいろいろなサービスを1か所で、もちろんすべて無料で受けられる場所です。現在、46の都道府県が設置しています。ハローワークを併設しているジョブカフェもあります。
ジョブカフェの多くは県庁所在地にありますが、地域によってはサテライトという出張所を作ってサービスを行っているところもあります。現在、住んでいる場所からお近くのジョブカフェを訪ねてみてください。
各自治体の就職支援プログラム
都道府県や市区町村などでは、独自の若者の就職支援プログラムを行っている場合があります。下記は、実施している一部の例ですが、「現在住んでいる都道府県や市区町村名」+「若者就労支援」又は「若者就職支援」で検索してみると、条件にあったプログラムを行っている場合があります。
東京都:東京しごとセンターヤングコーナー
自分に合う仕事がわからない、就職や転職したい会社が見つからない、就活の仕方がわからない。そんな課題を抱えている、29歳以下の学生や若者を就職支援アドバイザーが就職するまで担当制で全面的にサポートします。
東京都:正社員就職応援プロジェクト
都内で就職したい30~54歳の就職・転職を無料でサポートしています。専任の就職支援アドバイザーのサポートを受けられ、就活のレベルや目的に合わせた様々なプログラムを選ぶことができます。就活支援金支給制度や短期間のスキルアッププログラムなど、豊富なプログラムで就職活動を支援しています。
東京都世田谷区:世田谷で働こう!若年者就職応援プログラム
世田谷区内企業で働きたい40歳未満の方を対象に、研修、面接会、企業見学、現場見学、仕事体験などを行い、建設業をはじめ世田谷区の基準を満たした企業への就職を応援する事業です。大学4年生や転職希望者も歓迎です。
民間企業が行っている就職支援(無料)
第二新卒エージェントneo
主な対応エリア:東京・大阪・名古屋・福岡
対象年齢:18歳~28歳まで
経験・学歴不問でフリーター、中卒、高卒、大学中退、大学卒業後(既卒)、海外留学から帰国後、就職浪人、公務員試験からの民間企業就職への切り替え、短期離職、第二新卒(就業後3年以内の離職)、中途、キャリアアップの転職など幅広い経歴の方を、豊富な経験を持つのキャリアアドバイザーが1人あたり平均10時間の手厚いサポート。一人ひとりに合わせた書類添削や面接対策も受けられます。
ブラック企業を除外、優良企業のみの紹介で安心して就職活動を行うことができ、内定後はもちろん、入社後もサポートも受けられます。
ハタラクティブ
主な対応エリア:北海道・東北、関東、中部、近畿、中国、九州
対象年齢:18歳~29歳まで
既卒・フリーター・第二新卒を対象に、無料で就職支援を行っています。高卒・専門学校卒、大学中退も多数の就職実績があります。これまでたくさんの就職・転職に携わってきたプロのコンサルタントが正社員になるまでマンツーマンでしっかりとサポートしてくれます。
渋谷、立川、池袋、秋葉原、横浜、さいたま、名古屋、大阪、福岡で対面の個別相談を行っています。地方在住で首都圏への就職を希望する方は、事前に電話でのカウンセリングや面接対策を受けられ、効率的な就職活動が可能です。
「完全に未経験でも正社員として就職できる求人」をメインに取り扱っており、社会人未経験の方に向けた「未経験歓迎」の求人が常時1,000件以上あり、IT、広告・マスコミ、メーカー、建築・不動産、流通など取り扱っている業種も幅広いです。
ウズキャリ既卒
主な対応エリア:関東、東海、関西、九州など
対象年齢:18歳~29歳まで
ウズキャリ既卒で就職活動を行った既卒・フリーターの方の83%以上が1社以上の内定を獲得しています。選考企業毎にカスタマイズされた書類・面接対策など、一人一人に合わせたオーダーメイド型の平均20時間に及ぶ就活サポートが特徴です。
日本で唯一キャリアカウンセラー全員が元既卒・第二新卒で、同じ経験をしているからこそ、失敗をしない就職活動をするためのノウハウを伺えます。離職率/労働時間/社会保険の有無/雇用形態などで厳しい基準を設けて、ブラック企業を徹底排除し、入社後の定着率も93%ととても高いです。
学歴や就労経験に関わらず本人に就職へ向けた意欲がある限り支援してくれる公的機関や民間企業は必ずあります。良き専門家・パートナーの協力を得て、自分自身の目標を明確にして、希望する進路へと進めることを心より願っています。
本記事は、岩切準が担当。Eduwell Journalでは、子どもや若者の支援に関する様々な情報を毎月ご紹介しています。子どもや若者の支援に関する教育や福祉などの各分野の実践家・専門家が記者となり、それぞれの現場から見えるリアルな状況や専門的な知見をお伝えしています。